住宅手当の業界別ランキング|16産業の制度がある割合と支給額

公開読了約14分執筆ツナカレ就活編集部

一人暮らしの家賃や配属先での住まいを考えると、業界ごとの住宅手当の状況を知っておきたい場面があります。この記事では、厚生労働省の公的統計をもとに、住宅手当の「制度がある企業の割合」と「支給された人の1人平均額」を16産業で並べました。ランキングは会社選びの保証ではなく、業界を知る入口として使うための整理です。

この記事の数字の出どころとランキングの作り方

順位はすべて厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」の公表値を高い順に並べただけで、編集部の独自アンケートや評価は入れていません。線引きは次のとおりです。

  • 住宅手当は2024年11月分の値を使っています。
  • 対象は常用労働者30人以上を雇用する民営企業です。
  • 指標は「制度がある企業の割合」と「支給された労働者1人平均の支給額」の2つです。
  • 体育会出身者に限った産業別の住宅手当データは、制作時に確認した範囲では見当たりませんでした。
  • 企業別の手当額や、民間企業による調査は扱いません。

調査の概要は次のとおりです。

項目 内容
調査名 令和7年就労条件総合調査(厚生労働省)
対象 日本標準産業分類に基づく16大産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業(医療法人・社会福祉法人・協同組合等を含む)から層化無作為抽出
調査時点 2025年1月1日現在(諸手当は令和6〔2024〕年11月分)
調査客体数・有効回答数 6,448・3,820(有効回答率59.2%)

(出典: 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」)

住宅手当の定義は、用語の説明で「住宅費(持家に係る費用、賃貸住宅の家賃等)の補助として支給する賃金」とされています。集計上の名称は「住宅手当など」です(出典: 厚生労働省 用語の定義)。産業別の数字は、e-Statに公開されている統計表の第24表(制度がある企業の割合)と第27表(1人平均支給額)から取りました。統計表の公開日は2026年3月13日です。

結論|住宅手当の制度がある割合は教育,学習支援業の67.3%が最も高く、支給額は情報通信業の2万6,300円が最も高い

2つの指標で1位の産業が違います。まず、全産業(調査産業計)の数字を見ます。

項目 数値 分母・意味
住宅手当の制度がある企業の割合 47.9% 全企業に対する割合(第24表)
2024年11月分に住宅手当を支給した企業の割合 41.7% 全企業に対する割合(概要 第17表の[ ]内)
同上 45.7% 2024年11月分に諸手当を支給した企業を100としたときの割合(概要 第17表)
支給された労働者1人平均の住宅手当 1万8,700円 2024年11月分(概要 第18表)

(出典: 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」賃金制度の概要の第17表・第18表、e-Stat「令和7年就労条件総合調査 賃金制度」第24表)

47.9%・41.7%・45.7%は分母が違う

住宅手当の割合として、47.9%、41.7%、45.7%の3つの数字が出てきます。どれも全産業の住宅手当に関する数字ですが、分母が違います。47.9%は「制度がある」企業、41.7%と45.7%は「2024年11月分に実際に支給した」企業の割合です。さらに41.7%は全企業を分母にしたもので、45.7%は諸手当を支給した企業を分母にしたものです。

制度があっても、その月に支給実績がない企業があれば、47.9%と41.7%の間に差が出ます。差の内訳や理由は、調査からは分かりません。41.7%と45.7%は似た数字で混同しやすいため、数字を見かけたら、どの分母の数字かを確かめるのが安全です。この記事の業界別ランキングは、制度がある企業の割合(全企業が分母)で並べています。

前回の比較値は令和2年調査(令和元年11月分)です。支給企業の割合は諸手当支給企業ベースで47.2%、全企業に対する割合は40.7%、1人平均支給額は1万7,800円でした。1人平均支給額は1万7,800円から1万8,700円へ900円増(編集部算出)、全企業ベースの支給企業割合は40.7%から41.7%へ1.0ポイント増(編集部算出)です。一方、諸手当支給企業ベースでは47.2%から45.7%へ1.5ポイント減(編集部算出)で、分母によって増減の向きが逆になります。ここでも、どの分母の数字かを確かめてから読む必要があります。

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業界別ランキング①|住宅手当の制度がある企業の割合(16産業)

1位は教育,学習支援業の67.3%、2位は複合サービス事業の65.7%、3位は医療,福祉の61.1%で、16位はサービス業(他に分類されないもの)の29.2%です。

順位 産業 制度がある割合
1 教育,学習支援業 67.3%
2 複合サービス事業 65.7%
3 医療,福祉 61.1%
4 電気・ガス・熱供給・水道業 60.3%
5 金融業,保険業 55.9%
6 学術研究,専門・技術サービス業 54.6%
7 建設業 50.0%
8 卸売業,小売業 49.6%
9 宿泊業,飲食サービス業 46.0%
10 不動産業,物品賃貸業 45.6%
11 製造業 45.2%
12 情報通信業 44.6%
13 生活関連サービス業,娯楽業 40.0%
14 鉱業,採石業,砂利採取業 38.9%
15 運輸業,郵便業 32.3%
16 サービス業(他に分類されないもの) 29.2%
- 調査産業計 47.9%

(出典: e-Stat「令和7年就労条件総合調査 賃金制度」第24表「産業・企業規模、手当の種類別制度有企業割合(令和6年11月分)」。順位は編集部が公表値を高い順に並べ替えたもので、おすすめ順ではありません。年によって動く可能性があります)

最高と最低の差は38.1ポイント(編集部算出)です。調査産業計の47.9%を上回るのは、16産業のうち8産業です(編集部算出)。順位に差が生じた理由は調査から分からないため、以下ではデータで言える範囲だけを書きます。

産業ごとの読みどころ

  • 教育,学習支援業(1位)・複合サービス事業(2位): 上位2産業が6割台で並びます。複合サービス事業には、郵便局や協同組合が含まれます(出典: e-Stat 日本標準産業分類 大分類Q)。
  • 卸売業,小売業(8位): 全体では49.6%ですが、内訳は卸売業47.0%、小売業51.7%です。同じ産業の中でも、分け方によって数字は動きます。
  • 9〜12位: 宿泊業,飲食サービス業(46.0%)から情報通信業(44.6%)まで、1.4ポイント以内に4産業が並びます(編集部算出)。細かな順位差に意味を持たせすぎないほうがよいでしょう。
  • 製造業(11位): 45.2%で、調査産業計の47.9%を下回ります。製造業は規模別の内訳が公表されており、後の節で触れます。
  • サービス業(他に分類されないもの)(16位): 29.2%で、15位の運輸業,郵便業(32.3%)とは3.1ポイントの差です(編集部算出)。

業界別ランキング②|支給された人1人平均の住宅手当の額(16産業)

1位は情報通信業の2万6,300円、2位は学術研究,専門・技術サービス業の2万4,000円で、最下位は鉱業,採石業,砂利採取業と運輸業,郵便業の1万4,200円です。

順位 産業 1人平均支給額
1 情報通信業 2万6,300円
2 学術研究,専門・技術サービス業 2万4,000円
3 サービス業(他に分類されないもの) 2万2,700円
4 建設業 2万1,000円
5 複合サービス事業 2万100円
6 教育,学習支援業 1万9,900円
7 生活関連サービス業,娯楽業 1万9,100円
8 不動産業,物品賃貸業 1万8,900円
8 医療,福祉 1万8,900円
10 金融業,保険業 1万8,300円
11 卸売業,小売業 1万8,000円
12 電気・ガス・熱供給・水道業 1万7,500円
13 宿泊業,飲食サービス業 1万5,700円
14 製造業 1万5,600円
15 鉱業,採石業,砂利採取業 1万4,200円
15 運輸業,郵便業 1万4,200円
- 調査産業計 1万8,700円

(出典: e-Stat「令和7年就労条件総合調査 賃金制度」第27表「産業・企業規模、手当の種類別支給した労働者1人平均支給額(令和6年11月分)」。統計表は千円単位で、円表記は千円単位の値を換算したものです。順位は編集部が高い順に並べ替えました)

最高と最低の差は1万2,100円(編集部算出)です。ここで注意したいのは、「支給された労働者1人平均」が、住宅手当を受け取った人の平均だという点です。受け取っていない社員は含まれません。つまり、その産業のすべての社員がこの額を受け取れるという意味ではありません。

「制度がある割合」と「支給額」で順位は大きく入れ替わる

情報通信業は割合12位・金額1位、電気・ガス・熱供給・水道業は割合4位・金額12位のように、2つの順位は一致しません。「あるかどうか」と「いくらか」は別の問いとして見る必要があります。

産業 制度がある割合の順位 支給額の順位
情報通信業 12位(44.6%) 1位(2万6,300円)
サービス業(他に分類されないもの) 16位(29.2%) 3位(2万2,700円)
電気・ガス・熱供給・水道業 4位(60.3%) 12位(1万7,500円)
医療,福祉 3位(61.1%) 8位(1万8,900円)
学術研究,専門・技術サービス業 6位(54.6%) 2位(2万4,000円)
教育,学習支援業 1位(67.3%) 6位(1万9,900円)

(出典: 上記の第24表・第27表をもとに、編集部が順位を並べ替え)

両方とも6位以内なのは、教育,学習支援業、複合サービス事業、学術研究,専門・技術サービス業の3産業です(編集部算出)。反対に、両方とも13位以下なのは、鉱業,採石業,砂利採取業と運輸業,郵便業の2産業です(編集部算出)。

ずれの理由は、この調査からは分かりません。支給額は、勤務地の家賃水準や支給条件の違いが影響している可能性はありますが、この調査では確かめられません。「割合が高いから金額も高い」「金額が高いから制度も広く行き渡っている」といった読み方はできないため、2つの数字を分けて見るのが現実的です。

会社の規模でも差がある(企業規模別)

制度がある割合は、1,000人以上と300〜999人で6割強、30〜99人で44.3%と差があります。ただし、規模が大きいほど一律に高いとは言えません。

規模 制度がある割合(第24表) 1人平均支給額(第27表)
1,000人以上 61.7% 2万1,100円
300〜999人 62.0% 1万8,500円
100〜299人 53.5% 1万6,400円
30〜99人 44.3% 1万7,500円

(出典: e-Stat 第24表・第27表。いずれも全産業の値)

制度がある割合は300〜999人(62.0%)が1,000人以上(61.7%)をわずかに上回ります。支給額も、30〜99人(1万7,500円)が100〜299人(1万6,400円)を上回っています。

同じ業界でも規模で差が出る例として、製造業の制度がある割合を見ます。1,000人以上は60.1%、300〜999人は67.8%、100〜299人は50.0%、30〜99人は40.6%で、製造業計は45.2%です。30〜99人と300〜999人の差は27.2ポイント(編集部算出)にのぼります。なお、第24表で産業別の規模内訳が載っているのは製造業だけでした。業界の順位だけでなく、志望先の規模によっても数字が変わりうる点を押さえておくとよいでしょう。

体育会・部活動の学生がこのデータを読むときの注意

数字は産業単位の平均で、会社・勤務地・支給条件による差は表に出ません。業界を絞る参考にとどめ、個別企業で確かめるのが現実的です。

1. 社宅・寮で支援する会社は「住宅手当なし」に入りうる

この調査の住宅手当は、賃金として支給するものです。用語の定義では通勤手当に「現物支給を含む」と明記されている一方、住宅手当にはその記載がないため、会社が社宅や寮を提供する形(現物)は、この「住宅手当」の定義には含まれないと読めます。社宅や借り上げ社宅で住まいを支援している会社は、この統計では「住宅手当なし」の側に入っている可能性があります。そのため、制度がある割合が低い業界を、住まいの支援が少ない業界と読むことはできません。

2. 新卒1年目に支給されるかはこの統計から分からない

この統計は企業の制度の有無と、2024年11月分に支給された人の平均額をまとめたもので、新卒1年目に支給されるかどうかは分かりません。支給条件は会社ごとに異なり、賃貸住まいであることや実家からの距離、勤務地などが条件になる場合があります。額の大きさより先に、自分がその条件に当てはまるかを見る必要があります。

3. 手当は額面に入り、社会保険料の計算にも入る

日本年金機構の案内では、厚生年金・健康保険の保険料の基になる報酬には、住宅手当が含まれます。事業所が提供する宿舎費などの現物給与も、定められた価額で報酬に含まれます。つまり手当は額面に加わりますが、保険料の計算にも入ります。手取りの考え方は新卒1年目の手取りカレンダーで扱っています(出典: 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)。

4. 一人暮らし・地元志向の判断材料として

ツナカレメディアの取材で、信州大学体育会準硬式野球部の主務・選手兼監督は、部員の状況を次のように話しています。

「部員の9割ほどがアルバイトをしていて、一人暮らしの学生も多いです。」 (ツナカレメディア、2026年6月15日掲載)

これは部の状況についての発言で、住宅手当や就活について語ったものではありません。ただ、一人暮らしの学生にとって、入社後の家賃と手当は具体的な比較項目になりえます。

もう1つ、勤務地を軸に会社を選んだ例があります。同志社大学ボウリング部のOBは、新卒で地域金融機関に入社しています。

「地元に近い場所で働きたいという思いがあった」 「地域に根ざした金融機関であれば活動エリアも比較的限定されており」 (ツナカレメディア、2026年8月28日掲載)

実家から通える範囲で働く場合、会社によっては住宅手当の対象外になることもありえます。この場合は手当の額より、自分が支給条件に当てはまるかを確かめるほうが先です。

5. 産業区分と業界イメージのずれ

統計の産業は日本標準産業分類に基づくもので、学生が思い浮かべる「業界」と一致しないことがあります。たとえば複合サービス事業には、郵便局や協同組合が含まれます。ほかの具体例は、有給取得率の業界別ランキングで扱っています。

業界を絞ったあとに個別企業で確認したいこと

募集要項の「住宅手当あり」の表記だけでなく、支給条件・金額・期間と、社宅・寮の有無を確かめるのが次の一手です。説明会やOB・OG訪問で使える質問を表にまとめました。

確認項目 確認できる場所 質問例
支給条件(賃貸・世帯主・実家通勤の可否) 募集要項・説明会 「住宅手当は、どのような条件の社員が対象でしょうか。実家から通う場合はどうなりますか」
金額と上限 募集要項・採用ページ 「住宅手当の月額と上限は、いくらでしょうか」
支給期間 説明会・OB・OG訪問 「入社何年目までといった支給期間の決まりはありますか」
社宅・寮・借り上げ社宅の有無と自己負担 説明会・OB・OG訪問 「社宅や寮、借り上げ社宅の制度はありますか。ある場合の自己負担はどの程度でしょうか」
初任給に住宅手当が含まれているか 募集要項・労働条件通知書 「募集要項に記載の初任給には、住宅手当は含まれているでしょうか」
配属・転勤時の扱い 説明会・OB・OG訪問 「配属先や転勤で住まいが変わる場合、手当や社宅の扱いはどうなりますか」

月々の給与の比較は初任給の業界別ランキング、家賃水準を考えるときの参考には初任給の都道府県別ランキングが使えます。賞与はボーナスの業界別ランキングで扱っています。内定後に手当の記載を確かめる場面では労働条件通知書の見方、募集要項の言葉は募集要項の用語集で整理しています。業界研究の進め方は業界研究のポイント(ツナカレメディア)も参考にしてください。

まとめ

住宅手当の制度がある企業の割合は教育,学習支援業の67.3%、1人平均支給額は情報通信業の2万6,300円が最も高く、1位の産業が2つの指標で異なります。47.9%・41.7%・45.7%のように分母の違う数字が混在しやすいため、どの割合かを確かめて読むことが大切です。また、社宅や寮で支援する会社は、統計上「住宅手当なし」に入っている可能性があります。数字は産業の平均値で、支給条件や金額は会社ごとに違うため、個別企業の募集要項や説明会で確かめるのが現実的です。住宅手当は業界選びの軸の1つにすぎません。

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FAQよくある質問

住宅手当の制度がある企業の割合が最も高い業界・低い業界はどこですか?
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」の第24表では、教育,学習支援業の67.3%が最も高く、サービス業(他に分類されないもの)の29.2%が最も低くなっています。2024年11月分、常用労働者30人以上の民営企業を対象にした産業ごとの平均値で、同じ産業でも会社によって異なります。
住宅手当の平均はいくらですか?
住宅手当を支給された労働者1人平均で、調査産業計は1万8,700円です(2024年11月分)。業界別では情報通信業の2万6,300円から、鉱業,採石業,砂利採取業と運輸業,郵便業の1万4,200円までの幅があります。受け取った人の平均で、すべての社員の平均ではありません。
社宅や寮がある会社は、この統計に含まれますか?
調査の住宅手当は、住宅費の補助として支給する「賃金」と定義されています。社宅や寮の提供(現物)は、この住宅手当には含まれないと読めます。社宅で住まいを支援している会社は、統計上「住宅手当なし」に入っている可能性があるため、個別企業で確かめてください。

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