奨学金の返還はいつから?新卒の開始時期と就活中に確認する3点

公開読了約9分執筆ツナカレ就活編集部

「内定は決まったけれど、奨学金はいつから返すのだろう」「就活中に、奨学金について会社に聞いておくべきことはあるのか」。奨学金を借りている学生には、こうした疑問が出る場合があります。

結論から言うと、JASSO(日本学生支援機構)の貸与奨学金は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に返還が始まります。3月卒業なら、初回は入社半年後の10月です。 この記事では、開始時期、毎月の振替の仕組み、月額の目安、返還が苦しいときの制度に加え、就活の段階で企業に確認しておきたい「代理返還」の有無を、JASSOの公式情報をもとに整理します。

なお、入社後の手取りの動きは新卒1年目の手取りカレンダーで、在学中の年金の納付に関する制度は学生納付特例の追納で扱っています。本記事は奨学金の返還に絞ります。

返還の開始は「貸与終了の翌月から数えて7か月目」

結論として、返還の開始月は、貸与が終わった月を基準に決まります。 卒業した月や入社した月ではありません。

JASSOの案内では、返還は貸与終了の翌月から数えて7か月目に始まるとされています(出典:JASSO「返還を始める皆さんへ」)。同じ案内は、3月に貸与が終了する場合の返還開始は10月としています。

貸与が終わる月 数え方 最初の返還月
3月(一般的な大学4年の卒業時) 4月が1か月目、10月が7か月目 10月
9月(秋卒業など) 10月が1か月目、翌年4月が7か月目 翌年4月
途中で辞退・廃止した場合 貸与終了の翌月から数えて7か月目 貸与終了の時期で変わる

上の表の「9月」の行は、JASSOの数え方を当てはめた編集部の計算です。貸与の終わる月は、留年や進学、貸与の辞退などで変わる場合があります。自分の開始月は、学校から受け取る返還確認票やスカラネット・パーソナルで確認するのが確実です。また、本記事はJASSOの奨学金を前提にしています。大学独自の奨学金や自治体・民間団体の奨学金は、制度ごとに開始時期の数え方が異なる場合があるため、それぞれの案内で確認してください。

体育会の4年生が気をつけたい、返還説明会の時期

JASSOの案内によると、3月に貸与が終了する人には、貸与終了の約6か月前(10月ごろ)に学校で返還説明会があり、貸与終了後の8月に機構から口座振替の加入通知が届くとされています(出典:同上)。

この10月ごろは、部活のシーズンや引退の時期と重なる場合があります。説明会の日程は学校によって異なるため、大学の奨学金窓口の掲示やメールを、引退前後にも見落とさないようにしておくと安心です。これは編集部の考えで、部の予定と説明会が重なるかどうかは学校や競技によって異なります。

毎月の返還は口座振替、振替日は原則27日

結論として、返還は口座振替で行い、振替日は原則として毎月27日です。 27日が金融機関の休業日にあたる場合は、翌営業日になります(出典:JASSO 振替日のご案内)。

残高不足にならないよう、振替日の前営業日までに、振替用の口座へ返還額を入金しておく必要があります(同ページ)。給料日が月末の会社の場合、27日の振替には前月分の給料を充てる形になります。入社半年後の10月は、4月からの給料を受け取っている時期ですが、初回の入金を忘れないよう、返還専用の口座を決めておくと管理しやすくなります。

ファイナンシャルフィールドの解説も、貸与終了後の1回目の返還は入金忘れが起こりやすいと紹介しています(出典:ファイナンシャルフィールド)。

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月額の目安は「総額÷返還回数」で考える

結論として、毎月の返還額は、借りた総額と返還期間によって変わります。 実際の金額は人によって違うため、ここでは考え方のための単純計算を示します。

次の表は、利息を考えない単純計算(総額を返還回数で割った金額)です。無利子の第一種奨学金のみを借りた場合の目安にとどまり、利息がかかる第二種奨学金などでは、実際の月額はこれより高くなります。

借りた総額 15年(180回) 20年(240回)
200万円 約11,100円 約8,300円
300万円 約16,700円 約12,500円
400万円 約22,200円 約16,700円

返還期間は、借りた総額などにより決まる場合があり、自分で自由に選べるとは限りません。実際の月額は、学校から受け取る返還確認票やスカラネット・パーソナルで確認してください。

ファイナンシャルフィールドの記事では、奨学金400万円・返還期間20年・利息なしと仮定した月額を約1万6,700円と紹介しています(出典:同上)。上の表と同じ計算結果です。

初任給から月1万円台の返還が加わると、手取りの中での割合が気になる場合があります。給与の水準は業界で差があるため、業界別 初任給ランキングで確認する方法があります。ただし、毎月の返還額と生活費の見通しは、人によって異なります。

返還が苦しいときは、減額返還と返還期限の猶予がある

結論として、返還が難しくなったときのために、JASSOには減額返還と返還期限の猶予という制度があります。 滞納してから相談するより、早めに窓口へ相談するほうが選択肢を残しやすくなります。

JASSOの案内では、経済困難、傷病、災害などで返還が困難な場合に、次の2つの制度が使えるとされています(出典:JASSO「返還を始める皆さんへ」)。

制度 内容 注意点
減額返還 毎月の返還額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2のいずれかに減らす。その分、返還期間が延びる 願い出と審査が必要。第一種奨学金で所得連動返還方式を選んでいる場合は利用できない
返還期限猶予 返還期限を猶予する。猶予期間が終わった翌月から返還を再開する 願い出と審査が必要

JASSOの案内では、第二種奨学金は、猶予期間中は利息が増えないとされています(同ページ)。いずれの制度も、使えるかどうかは審査で決まります。状況が苦しくなりそうなときは、スカラネット・パーソナルや、JASSOの窓口で手続きを確認してください。

また、余裕があるときに返還を前倒しする「繰上返還」は、貸与終了の翌月から原則として可能とされています(同ページ)。繰上返還をするかどうかは、手元の生活資金やライフイベントの予定も踏まえて判断することになります。

就活中に企業へ確認したい3点

結論として、就活の段階で確認したいのは、「代理返還の有無」「支援の条件」「給与の支払日」の3点です。 内定後に確認するより、条件を比べたい選考中や内定承諾の前に把握しておくほうが、判断に使いやすくなります。

①奨学金返還支援(代理返還)制度を導入しているか

代理返還とは、企業などが従業員の奨学金の返還額の一部または全額を、従業員に代わって返還する制度です。JASSOの学生向けページは、導入している企業かどうかを事前に確認するよう案内しています(出典:JASSO 学生向け 代理返還制度)。

JASSOの企業向けページによると、2021年4月から企業などがJASSOへ直接送金できるようになり、令和8年3月末時点で全国4,852社が制度を利用しています(出典:JASSO 企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度)。同ページには、返還額にかかる所得税が非課税となり得るとも書かれています。ただし、役員の場合などは非課税とならないことがあり、詳細は国税庁の案内を確認するよう記載されています。

JASSOの導入企業検索には、依頼があった企業だけが掲載されます。検索に出てこない企業が導入していないとは限らないため、気になる企業には直接確認する必要があります(学生向けページ)。

②支援の対象と条件

JASSOの学生向けページは、支援の条件は企業ごとに異なり、正規社員であることや年齢の上限が設けられている場合があると案内しています。対象はJASSOの奨学金のみで、ほかの奨学金に対する支援は企業に直接確認するよう記載されています(同ページ)。

面接の場や説明会で聞きにくい場合は、OB・OG訪問や、内定後の人事面談で確認する方法があります。聞き方の例を次に示します(架空の例文です)。

奨学金を借りているのですが、貴社に奨学金の返還を支援する制度はありますか。ある場合は、対象となる条件や、申請の時期を教えていただけますでしょうか。

聞くこと自体が選考に影響するかどうかは、企業によって受け止め方が異なり、一概には言えません。聞くタイミングに迷うときは、大学のキャリアセンターに相談してください。

③給与の支払日と、返還の振替日の関係

返還の振替日は毎月27日が原則です。給与の支払日が27日より後の会社では、27日の振替に、前月までに受け取った給料を充てることになります。 給与の締め日と支払日は、募集要項や労働条件通知書に書かれている場合があります。読み方は新卒の労働条件通知書の見方で解説しています。

3月卒業で4月入社の場合、最初の返還は入社から半年ほどあとの10月です。それまでに給料を数回受け取っているため、初回の振替までに口座を整える時間はあります。ただし、引っ越し費用や一人暮らしの初期費用など、入社前後の出費の状況は人によって異なります。

返還開始までにやることチェックリスト

返還開始までの手続きは、説明会への参加、口座振替の手続き、通知の確認、初回の入金の順に進みます。

時期の目安 やること
就活中 志望企業の代理返還の有無と条件を、説明会・OB訪問・内定後面談で確認する
貸与終了の約6か月前(3月終了なら前年の10月ごろ) 学校の返還説明会に参加し、返還確認票と「返還のてびき(ダイジェスト版)」を受け取って保管する。部活の予定と重なる場合は、窓口に代替の手段を相談する
貸与終了まで 口座振替(リレー口座)の加入手続きをする
貸与終了後(3月終了なら8月) JASSOから届く口座振替の加入通知を確認する
初回の振替日の前営業日まで 振替用口座へ返還額を入金しておく
返還が苦しくなりそうなとき 滞納する前に、減額返還・返還期限猶予をJASSOに相談する

まとめ 開始月を知り、就活中に会社へ確認する

奨学金の返還について、ポイントを整理します。

  • JASSOの貸与奨学金は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に返還が始まる。3月卒業なら10月から
  • 返還は口座振替で、振替日は原則毎月27日。前営業日までの入金が必要
  • 月額は総額と返還期間で変わる。単純計算の目安はあるが、実際の金額は書類で確認する
  • 苦しいときは、減額返還・返還期限猶予がある。早めの相談が選択肢を残す
  • 就活中は、代理返還の有無・条件・給与の支払日を確認すると、会社を比べる材料になる

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FAQよくある質問

3月に卒業した場合、奨学金の返還は何月から始まりますか?
日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に返還が始まります。3月に貸与が終了する場合は、10月が最初の返還月です(出典:JASSO「返還を始める皆さんへ」)。貸与終了の時期が3月以外の場合や、JASSO以外の奨学金の場合は開始時期が変わるため、手元の書類や通知で確認してください。
毎月の返還額はどのくらいですか?
月額は借りた総額や返還方式などで決まるため、一律の金額はありません。参考として、利息を考えない単純計算では、総額300万円を20年(240回)で割ると月1万2,500円です。実際の金額は、学校から受け取る返還確認票やスカラネット・パーソナルで確認できます。
返還が難しくなったときはどうすればよいですか?
JASSOには、毎月の返還額を減らす減額返還と、返還期限を猶予する制度があります。いずれも願い出と審査が必要で、返還が困難な事情(経済困難、傷病、災害など)が対象です。返還が遅れる前に、早めにJASSOへ相談してください。

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