学生納付特例の追納はいつ?新卒1年目の期限・加算額・控除

公開読了約10分執筆ツナカレ就活編集部

内定が決まったり入社したりしたあとに、「学生時代に猶予してもらった国民年金は、いつ払えばいいのだろう」と迷ったときのために、期限・金額・手続きの仕組みを公的資料で確かめておくと判断しやすくなります。

結論から整理します。追納できるのは「追納が承認された月の前10年以内」の期間です。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。そして、追納した保険料は社会保険料控除の対象になります。

この記事は、日本年金機構・国税庁・日本学生支援機構(JASSO)の公開資料(2026年11月時点で確認)をもとに、在学中の年度ごとの「加算額が付き始める年度」と、新卒1年目の予定を重ねた考え方を整理します。追納するか・しないかの結論は出しません。判断材料をそろえることが目的です。

学生納付特例の追納で押さえる3つのルール

押さえるのは、期限は10年・加算額は3年度目から・原則として古い期間から、の3つです。

ルール 内容 出典
期限 追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納が可能です。 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
加算額 免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。 同上
順序 原則として古い期間から納めます。免除と、猶予・学生納付特例の両方がある人は、順序を年金事務所に相談します。 同上
対象外 老齢基礎年金を受け取ることができる人は追納できません。 同上

申込書の提出は期限の直前だと間に合わないおそれがあるため、早めの手続きが案内されています(同上、2026年4月1日更新の内容)。

「10年以内」は、いつから数えるかで終わりの時期が変わります。このため、この記事では「〇年〇月まで」とは書きません。自分の場合の具体的な時期は、年金事務所で確認してください。

追納しないと年金にどう影響するか

学生納付特例の期間は、老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)には含まれますが、年金額の計算には含まれません。

日本年金機構は、満額の老齢基礎年金を受け取るには保険料を納めた期間が40年必要と案内しています。猶予を受けたままにした期間は、この40年に数えられません。

影響は老後の年金だけではありません。次の表のとおり、制度ごとに扱いが違います。

場面 学生納付特例の期間の扱い
老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上) 算入される
老齢基礎年金の額 反映されない(追納すると反映される)
障害基礎年金・遺族基礎年金の要件 保険料納付済期間と同様に扱われる

日本年金機構は、1年間分を追納すると、納付猶予や学生納付特例の期間であれば老後の年金が年間で約2万円増えると案内しています(追納制度のページ、特例制度の説明は国民年金保険料の学生納付特例制度、2026年10月16日更新)。

この記事では、払った額と増える額の損得計算や、回収にかかる年数の試算はしません。受け取る期間や家計の状況など、人によって前提が大きく変わるためです。個別の判断は年金事務所にご相談ください。

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加算額はいつから?在学中の年度ごとの早見表

ある年度の分は、その年度の3年後の年度(4月)以降に追納すると加算額が付きます。たとえば令和5年度(2023年4月〜2024年3月)分は、令和8年度(2026年4月〜)から加算の対象です。

表A 猶予を受けた年度と、加算額が付き始める年度

猶予を受けた年度 加算額なしで追納できる年度 加算額が付き始める年度
令和4年度分(2022年4月〜2023年3月) 令和6年度まで 令和7年度(2025年4月〜)
令和5年度分(2023年4月〜2024年3月) 令和7年度まで 令和8年度(2026年4月〜)
令和6年度分(2024年4月〜2025年3月) 令和8年度まで 令和9年度(2027年4月〜)
令和7年度分(2025年4月〜2026年3月) 令和9年度まで 令和10年度(2028年4月〜)
令和8年度分(2026年4月〜2027年3月) 令和10年度まで 令和11年度(2029年4月〜)

この表は、日本年金機構の「令和8年度中に追納する場合」の表で令和6年度・令和7年度分に加算額が付かないことと、前述のルールから編集部が整理したものです。対象になるのは学生納付特例を受けた月だけです。20歳になった月など、人によって始まる月は違います。

読み方の例

2027年3月卒業・4月入社の人は、入社する令和9年度には、令和6年度分以前が加算の対象になります。令和7年度分・令和8年度分は、令和9年度中なら加算額なしです。ただし、原則は古い期間から納めるため、加算額のない直近の年度だけを先に納めることは原則できません。順序の扱いは年金事務所で確認してください。

2026年4月に入社した人(令和8年度)は、表Aのとおり令和5年度分以前が加算の対象で、令和6年度・令和7年度分は加算額なしです。

表B 令和8年度中に追納する場合の月額

猶予を受けた年度 令和8年度中の追納額(月) 当時の保険料(月) 差(加算額)
令和3年度分 17,110円 16,610円 +500円
令和4年度分 16,990円 16,590円 +400円
令和5年度分 16,770円 16,520円 +250円
令和6年度分 16,980円 16,980円 加算なし
令和7年度分 17,510円 17,510円 加算なし

追納額は日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」の令和8年度追納額表(全額免除・納付猶予・学生納付特例の列)、当時の保険料は日本年金機構「国民年金保険料の変遷」によります。差は編集部が計算しました。

令和8年度時点の加算額は、1か月あたり数百円の幅です。経過年数に応じて増える仕組みのため、年度が進むと差が広がる可能性があります。令和9年度中の追納額は、2026年11月時点で公表されていないため、この記事では扱いません。

参考として、令和7年度分12か月を令和8年度中に追納する場合は、17,510円×12か月=210,120円です(加算額なし)。なお、現在の保険料は令和8年度で月17,920円です(日本年金機構「国民年金保険料」)。

新卒1年目の予定と重ねて考える

追納の時期は、手取りが変わる時期や奨学金の返還開始と重ねて、家計の見通しが立つところで決める考え方があります。どの時期がよいかは、収入や支出の状況で人によって違います。

時期 1年目に起きること 追納との関係
4月 入社・初任給。雇用保険料と所得税が引かれます 手取りの見通しを立てる時期です
5月 前月分を控除する会社では、健康保険料・厚生年金保険料の控除が始まります 手取りが変わる月です。家計を見直すきっかけにできます(詳しくは新卒1年目の手取りカレンダー)
10月 JASSOの貸与奨学金は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に返還が始まります(3月に貸与終了なら10月)。出典:JASSO 返還の流れ 毎月の支出が増える時期です
12月 年末調整 その年に払った追納分を、控除として申告できます
翌年6月 住民税の天引きが始まります 同じく手取りカレンダー記事を参照してください
翌年度の4月 次の年度分に加算額が付き始めます 表Aで自分の年度を確認します

追納の進め方は3通り

次の3つの進め方が考えられます。どれが正解という結論は、この記事では出しません。

  • ①加算額が付く前の年度を意識して、早めにまとめて納める。 加算額が付き始める時期を表Aで先に把握できます。一方で、一度に必要な金額が大きくなりやすい点に注意が必要です。
  • ②月単位で一部ずつ納める。 免除・猶予された保険料は、全部または一部を納付できます。負担を分けられますが、原則は古い期間から納めるため、納め終えるまでに年度をまたぐと、後ろの年度に加算額が付き始める場合があります。
  • ③家計が落ち着いてから納める。 無理のない時期に進められます。ただし、加算額が付く年度と、10年の期限を把握したうえで考える必要があります。

社会人になると厚生年金に加入するため、入社後は国民年金保険料を自分で納める必要は通常ありません(厚生年金保険料は給与から引かれます)。ただし、学生時代に猶予を受けた分は、入社しても自動では埋まりません。

追納の手続きの流れ(郵送でもできる)

追納申込書を年金事務所に窓口か郵送で提出すると、後日納付書が届きます。その納付書で、金融機関・コンビニ・スマートフォンアプリ等から納めます。

  1. 「国民年金保険料 追納申込書」を用意する。 日本年金機構のサイトからダウンロードできます。ねんきんネットの作成支援機能で入力して印刷もできますが、電子申請ではありません。利用にはねんきんネットのIDが必要です。
  2. 近くの年金事務所へ提出する(窓口または郵送)。 街角の年金相談センターでは受付できません。
  3. 本人確認書類を用意する。 窓口ではマイナンバーカード等を提示します。郵送の場合は、マイナンバーカードの表裏のコピー等を同封します。
  4. 届いた納付書で納める。 金融機関・郵便局・コンビニ・Pay-easy・スマートフォンアプリで納付できます。口座振替・クレジットカード・ねんきんネットでの納付書なしの納付はできません。

出典は日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」です。

平日に窓口へ行きにくい場合は、郵送で提出する方法があります。遠征や合宿、入社前後の研修などで予定が埋まる時期にも使える方法です。入社前に必要書類をまとめる段取りは、入社時に出す書類の一覧や内定後にやることリストも参考にしてください。

追納した保険料の控除と、年末調整のタイミング

追納した保険料は社会保険料控除の対象で(出典: 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」)、その年に払った額を年末調整か確定申告で申告します。

国税庁のタックスアンサーNo.1130によると、控除額はその年に実際に支払った金額です。国民年金保険料は、証明書類を「給与所得者の保険料控除申告書」等に添付または提示します(国税庁 タックスアンサーNo.1130)。

注意したいのは控除証明書の送付時期です。日本年金機構が案内する令和8年分の送付予定は次のとおりです。

納付した時期 電子データ 書面
1月1日〜9月30日 10月中旬〜下旬 10月下旬〜11月上旬
10月1日〜12月31日(上記を除く) 令和9年1月下旬から 令和9年2月上旬

出典:日本年金機構「令和8年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の送付予定をお知らせします」。

令和8年分以後の確定申告では、控除証明書の代わりに一定の事項を書いた明細書を添付できる場合があります(国税庁 No.1130)。ただし日本年金機構は、年末調整の際は明細書での代用はできないと案内しています。

その年の1〜9月に納付がなく、10〜12月に初めて国民年金保険料を納めた場合(入社1年目の秋以降に追納を始めた場合など)は、年末調整に証明書が間に合わない場合があります。その場合は確定申告で申告する方法があります。10月以降に納めた分の領収証書は捨てずに保管しておくと、確認がしやすくなります。具体的な扱いは、勤務先の担当者や税務署に確認してください。この記事では税額の試算はしません。

まとめ

  • 追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間です。
  • 承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降は、加算額が上乗せされます。早見表(表A)で自分の年度を確認できます。
  • 原則として古い期間から納めます。全部でも一部でも納付できます。
  • 手続きは追納申込書を年金事務所へ出す方法で、郵送でも可能です。
  • 追納した保険料は社会保険料控除の対象です。10〜12月に初めて納めた場合は、控除証明書の送付が年末調整に間に合わない可能性があります。

第一歩は、年金事務所で、自分の猶予期間と追納額を確認することです。年金や税の個別の判断は、この記事では扱えません。

内定後の手続きや入社までの準備、就活の進め方で迷うことがあれば、ツナカレ就活の無料相談をご利用ください。年金・税の個別の判断は扱っていませんが、進路やこれからの段取りについては一緒に整理できます。

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FAQよくある質問

学生納付特例の分を追納しないとどうなりますか?
日本年金機構によると、学生納付特例の期間は老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)には算入されますが、老齢基礎年金の額には反映されません。一方、障害基礎年金・遺族基礎年金の要件では、保険料納付済期間と同様に扱われます。1年間分を追納すると老後の年金が年間で約2万円増えると同機構は案内しています。追納するかどうかは家計の状況によっても変わるため、判断に迷う場合は年金事務所に相談してください。
追納は一部だけ・少しずつでもできますか?
日本年金機構は、免除・猶予された保険料の全部または一部を納付できると案内しています。原則として古い期間から納めます。追納申込書を提出すると納付書が郵送されるので、その納付書で納めます。
追納した保険料は年末調整で控除できますか?
追納した保険料は社会保険料控除の対象です。年末調整では控除証明書などを添付または提示する必要があり、日本年金機構は明細書での代用はできないと案内しています。その年の10〜12月に初めて国民年金保険料を納付した人の控除証明書は、令和9年1月下旬(電子データ)・2月上旬(書面)からの送付予定のため、年末調整に間に合わない可能性があります。その場合は確定申告で申告する方法があります。具体的な扱いは勤務先の担当者や税務署に確認してください。

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