「就職しても、競技はできるだけ続けたい」「でも、実業団に入れるレベルではないし、普通の会社だと続けられるのか分からない」。部活を引退する時期が近づくと、体育会の学生にはこうした迷いが出る場合があります。
結論から言うと、社会人で競技を続ける道は「実業団・アスリート採用」だけではなく、一般採用で入社して働きながら続ける形もあります。そのうえで、続けやすさは会社ごとに差が出るため、勤務地・勤務時間・休日・会社の支援・先輩社員の実例の5点を、就活の段階で確認しておくと判断しやすくなります。 この記事では、その確認の仕方と、面接での伝え方の例文を整理します。
なお、競技を続けること自体を就活の軸にするかどうかは人によって異なります。軸の決め方は体育会の就活の軸の決め方で扱っているため、本記事は「続けたい」と決めた人が会社を比べる場面に絞ります。また、内定後に大学の部活を引退まで続けるかどうかは内定後も部活を続けるべきかで扱っており、本記事は就職後の競技継続の話です。
社会人で競技を続ける3つの形を整理する
結論として、社会人で競技を続ける形は、①実業団・アスリート採用、②一般採用で入社して社外チームで続ける、③会社の中のスポーツ活動で続けるの3つに分けて考えると整理しやすくなります(編集部の整理で、公的な分類ではありません)。形によって、確認する内容が変わるためです。
| 形 |
内容 |
向いている人 |
確認の中心 |
| ①実業団・アスリート採用 |
企業が競技の継続を前提に雇用する |
競技を中心に据えたい人 |
チームの方針、競技と仕事の配分 |
| ②一般採用+社外チーム |
通常の社員として働き、休日などに地域のクラブやOBチームで続ける |
仕事と競技を並行したい人 |
勤務地、勤務時間、休日 |
| ③社内のスポーツ活動 |
社内の部・同好会、施設補助などを使って続ける |
同僚と気軽に続けたい人 |
活動の有無、参加者、支援の範囲 |
②と③の実態(どのくらいの人が続けているか、どのくらいの企業に制度があるか)を示せる公的な統計は、今回の調査では確認できていません。したがって、数字で判断するのではなく、志望する会社ごとに個別に確かめることが基本になります。
①実業団・アスリート採用は、対象が絞られる仕組みもある
結論として、実業団やアスリート採用の支援制度には、対象が限られるものがあります。実業団やアスリート採用は、競技の継続を前提に企業が雇用する形で、支援の仕組みの一つに、日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」があります。アスナビは「企業と現役トップアスリートをマッチングする、JOCの就職支援制度」で、登録できるのは、JOCや各競技団体が強化指定選手として認定または推薦した、世界のトップを目指すアスリートとされています(出典: JOC「アスナビ」)。2024年3月時点で約230社が400名近くのアスリートを採用しているとされています。
こうした制度は対象が限られるため、自分が対象になるかどうかは、競技団体や大学の監督、キャリアセンターに早めに相談して確かめるのが現実的です。実業団でプレーする場合の働き方も、チームによって違います。
立教大学ボート部のOBのインタビュー記事では、実業団入り後の働き方が次のように紹介されています。入職初期は「朝5時から練習し、8時半から夕方までフルタイムで働き、仕事後に自主練習をする選手がほとんどのチームでした」。強化指定後は「午後1時まで働き、その後に練習へ向かう形に変わりました」といい、こうした生活を6年間続けたそうです(2026年6月25日掲載、出典: ツナカレメディア OBOGインタビュー)。これは1チームの例で、実業団全般の働き方ではありませんが、競技を続けるといっても、時期や立場によって仕事と練習の配分が変わることは読み取れます。
競技を続ける形が、思いどおりにならない場合もある
競技を続けると決めても、状況が変わる場合があります。同志社大学硬式野球部のOBは、複数の企業チームから声がかかったものの、怪我の影響で話が流れる時期もあったと語っています。入社後も思うようにいかず、入社から約2年で現役を引退する決断をしたそうです(2026年2月6日掲載、出典: ツナカレメディア OBOGインタビュー)。
これも1人の例で、誰にでも起こるわけではありません。ただ、競技を続けられなくなったときにも、その会社で働きたいと思えるかを考えておくと、会社選びの軸がぶれにくくなります。競技のためだけに選んだ会社だと、状況が変わったときに迷いが大きくなる場合があるためです。これは編集部の考えです。
会社選びで確認したい5つのポイント
結論として、一般採用で入社して続ける場合に確認したいのは、勤務地、勤務時間、休日、会社の支援、先輩社員の実例の5点です。それぞれ、どこで確認できるかも合わせて整理します。
| 確認すること |
理由 |
確認できる場所 |
OB・OG訪問での質問例 |
| ①勤務地・転勤 |
練習拠点やチームに通える範囲かが変わる |
募集要項の勤務地、労働条件通知書の「就業の場所」「変更の範囲」 |
「配属先は希望を聞いてもらえますか。転勤の頻度はどのくらいですか」 |
| ②勤務時間・残業・繁忙期 |
平日夜の練習に参加できるかが変わる |
募集要項、説明会、OB・OG訪問 |
「繁忙期は何月ごろで、そのとき定時に帰れる日はありますか」 |
| ③休日・大会日の休暇 |
週末の大会や遠征に出られるかが変わる |
募集要項の休日欄、就業規則、OB・OG訪問 |
「休日出勤はどのくらいありますか。連休は取りやすいですか」 |
| ④会社の支援 |
公認の部活、施設の補助、休暇の扱いが違う |
採用ページ、説明会、認定マークの参考情報 |
「社内でスポーツ活動の補助や制度はありますか」 |
| ⑤先輩社員の実例 |
実際に続けている人がいるかが分かる |
OB・OG訪問、社員紹介ページ |
「競技を続けている社員の方はいますか。どう両立していますか」 |
①勤務地・転勤は、募集要項の書き方だけでは実態が分からない場合があります。労働条件通知書の読み方は新卒の労働条件通知書の見方で扱っています。
②勤務時間は、業界の平均だけで判断しないことが大切です。業界ごとの月平均の残業時間は業界別 残業時間ランキングで確認できますが、平均値は繁忙期の偏りや部署による違いを示しません。競技の練習日と重なる曜日や時期の実態は、個別に聞いて確かめるのが確実です。
③休日は、年間休日の数だけでなく、休日出勤の頻度、連休の取りやすさ、大会期間中の有給の扱いを確認すると、現実的に判断しやすくなります。
④会社の支援については、スポーツ庁のスポーツエールカンパニーなどの認定を見かけることがあります。ただし、この認定は従業員のスポーツ活動の促進に取り組む団体への認定で、競技の継続を保証するものではありません。読み方は就活で見かける認定マーク一覧で解説しています。
⑤先輩社員の実例は、5点のなかでも判断材料になると考えられる項目です。制度の有無より、実際に続けている人がいるか、その人がどう両立しているかを聞くと、入社後の生活を想像しやすくなります。
母体企業とのつながりを志望理由にした例
結論として、競技との接点は志望理由の中心ではなく「一部」として伝える形があります。実際に、新潟大学アイスホッケー部のOBは、志望理由の一つとして、志望した企業のアイスホッケー部を前身とするクラブと、その企業との歴史的なつながりに興味を持ったことを挙げています(2026年8月28日掲載、出典: ツナカレメディア OBOGインタビュー)。この方は、そのほかにインフラ事業の安定性や社会貢献性も志望理由にしたと話しています。
この例は、競技との接点が志望動機の「一部」であり、事業の内容にも関心を持っていたことが分かります。競技を続けたいという希望だけでなく、その会社の事業や仕事に魅力を感じていることも、あわせて整理しておくと、面接で伝えやすくなります。
面接で「競技を続けたい」をどう伝えるか
結論として、競技の継続は志望動機の中心に置かず、仕事への意欲を示したうえで、補足として確認する形が、誤解を招きにくいと考えられます。企業によって受け止め方は異なり、これは編集部の考えです。
伝え方の違いを、架空の例で比べます。
| 伝え方の型 |
例(架空) |
注意点 |
| 競技が理由の中心 |
「競技を続けられる環境があるので志望しました」 |
仕事への関心が伝わりにくい |
| 仕事が中心+補足 |
「〇〇の仕事に魅力を感じています。あわせて、休日に地域のクラブで競技を続けたいと考えています」 |
補足として伝えるので、意欲とのバランスを取りやすい |
| 確認の質問 |
「休日に競技活動を続けることは、就業規則上問題ありませんか」 |
選考が進んでから、逆質問などで確認する |
例文1 自己PRや志望動機の中での補足(架空)
私は大学の体育会〇〇部で、4年間競技に打ち込みました。この経験で身についた、目標に向けて計画的に準備する姿勢を、貴社の〇〇の仕事で活かしたいと考えています。入社後も、休日には地域のクラブで競技を続けたいと考えていますが、仕事を最優先に取り組みます。
ポイント: 競技は「続けたいこと」として補足にとどめ、仕事への姿勢を先に述べます。
例文2 逆質問での確認(架空)
入社後に、休日に地域のクラブで競技を続けることを検討しています。就業規則上、問題がないか確認させてください。また、競技を続けている社員の方がいらっしゃれば、仕事とどのように両立されているか、教えていただけますでしょうか。
ポイント: 質問の形にすると、企業側も答えやすくなります。選考の終盤や、内定後の面談で聞く方法もあります。
確認事項をまとめるチェック表
志望する会社ごとに、次の表を埋めて比べると、迷いを整理しやすくなります。空欄が多い会社は、確認が必要な項目が残っているということです。
| 項目 |
A社 |
B社 |
C社 |
| 勤務地・転勤の範囲 |
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| 平日の終業時刻の目安(繁忙期を含む) |
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| 休日出勤の頻度、連休の取りやすさ |
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| 会社の支援(制度、補助、社内活動) |
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| 競技を続けている社員の有無 |
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| 競技を続けられなくなっても働きたいか |
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最後の1行は、制度ではなく自分への問いです。競技の事情が変わっても、仕事や会社に魅力を感じられるかを、ここで確かめておきます。
まとめ 競技の継続は、5点を確認して「個別に」判断する
社会人で競技を続けたい人が会社を選ぶ際のポイントは、次のとおりです。
- 続け方には「実業団・アスリート採用」「一般採用+社外チーム」「社内のスポーツ活動」の3つがある
- 実業団・アスリート採用は対象が限られる仕組みもあるため、早めに監督や競技団体、キャリアセンターに相談する
- 勤務地・勤務時間・休日・会社の支援・先輩社員の実例の5点を、会社ごとに確認する
- 面接では、競技の継続を志望動機の中心にせず、仕事への意欲を示したうえで補足として伝える
- 競技を続けられなくなったときも働きたい会社かどうかを、あわせて考える
どの会社なら両立できそうか、一人で整理しにくいときは、ツナカレ就活への登録から相談できます。ご相談にはメールで回答します。ガクチカの材料を整理したい方は、体育会・学生団体のガクチカ 書き方テンプレ&例文集を無料で配布しています。