奨学金返還支援がある企業の探し方|JASSO掲載2,365社を業種別に集計

公開読了約14分執筆ツナカレ就活編集部

奨学金の返還は、JASSOの案内では「貸与終了の翌月から数えて7か月目に始まります」(出典: JASSO 返還の流れ)。3月に貸与が終わる場合は、入社した年の10月から返還が始まる計算です(開始時期と振替日は奨学金の返還はいつから?で扱い、この記事は制度がある企業の探し方に絞ります)。入社後の暮らしを考えると、返還のことが気になる方もいるでしょう。企業の中には、従業員の奨学金を代わりに返還する「代理返還」の制度を設けているところがあります。この記事は、JASSOの公式検索に掲載された企業を編集部が数えた集計で、おすすめ企業の紹介ではありません。

この記事の数字の出どころと集計の方法

数字はすべて日本学生支援機構(JASSO)の「制度導入企業等検索」の掲載内容を、編集部が2026年11月4日に業種・都道府県などの項目ごとに数えたもので、独自アンケートや企業の評価は入れていません。線引きは次のとおりです。

  • 掲載数は2,365社です(令和8年9月30日更新・基準日令和8年9月27日)。
  • 掲載内容は、企業等から提供を受けた資料で作成されていると、JASSOの検索ページに記載されています。
  • 業種はJASSO検索の20区分をそのまま使っています。
  • 個別企業の評価をしないため、企業名は挙げません。
  • 体育会出身者に限ったデータは、確認した範囲では見当たりませんでした。

概要は次のとおりです。

項目 内容
制度名 企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度
仕組み 企業等が従業員の返還残額の一部または全額をJASSOに直接送金
送金の開始 2021年4月から(JASSOの2020年12月の公表資料)
集計対象 検索掲載2,365社
集計日 2026年11月4日

(出典: JASSO 企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度、制度導入企業等検索)

結論|掲載2,365社のうち建設業が627社で最も多く、上位3業種で半数を超える

業種別では建設業627社(26.5%)、医療,福祉338社(14.3%)、製造業283社(12.0%)の順で、上位3業種の合計1,248社は全体の52.8%です(編集部算出)。探し方としては、JASSOの公式検索で地域・業種・企業名から絞り込む方法があります。

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業種別の掲載企業数(20区分)

20区分のうち、掲載が最も多いのは建設業で、最少は漁業の0社です。

順位 業種 掲載企業数 構成比
1 建設業 627社 26.5%
2 医療,福祉 338社 14.3%
3 製造業 283社 12.0%
4 卸売業,小売業 247社 10.4%
5 サービス業(他に分類されないもの) 191社 8.1%
6 情報通信業 187社 7.9%
7 学術研究,専門・技術サービス業 153社 6.5%
8 不動産業,物品賃貸業 71社 3.0%
9 運輸業,郵便業 64社 2.7%
10 宿泊業,飲食サービス業 50社 2.1%
11 教育,学習支援業 39社 1.6%
12 生活関連サービス業,娯楽業 38社 1.6%
13 金融業,保険業 23社 1.0%
14 電気・ガス・熱供給・水道業 15社 0.6%
15 複合サービス事業 13社 0.5%
15 分類不能の産業 13社 0.5%
17 農業・林業 7社 0.3%
18 公務(他に分類されるものを除く) 4社 0.2%
19 鉱業,採石業,砂利採取業 2社 0.1%
20 漁業 0社 0%
- 合計 2,365社 100%

(出典: JASSO「制度導入企業等検索」を編集部が集計。業種はJASSO検索の区分で、各業種で検索した件数の合計(2,365社)は全件検索の件数と一致することを確認しました。構成比は編集部算出で、順位は編集部が多い順に並べたもので、おすすめ順ではありません)

件数の多さは「導入しやすさ」を意味しない

この表は掲載された企業の数を数えたものです。業種ごとに企業の数そのものが違うため、件数が多い業種で制度がある会社の割合が高いとは言えません。割合を示す公的データは、今回確認した範囲では見当たりませんでした。件数は「探したときに見つかりやすい業種」の目安にとどまります。

また、業種は日本標準産業分類に沿った区分です。学生が思い浮かべる業界の呼び方と一致しないことがあるため、検索画面の業種は20区分の選択式なので、志望する業界がどの区分に入りそうかを考えてから、複数の区分を選んで検索する方法があります。

業種ごとの読みどころ

  • 建設業は627社で、掲載全体の4社に1社以上(26.5%)を占めます。
  • 医療,福祉(338社)と製造業(283社)が続き、この3業種で半数を超えます。
  • 金融業,保険業は23社(1.0%)と少ない件数です。ただし、掲載は企業の依頼に基づくため、掲載がないことは制度を導入していないことを意味しません。
  • 漁業は0社です。理由はこのデータからは分かりません。

都道府県別の掲載企業数

東京都が471社(19.9%)で最も多く、大阪府202社、北海道182社、愛知県143社、福岡県131社が続き、上位5都道府県で全体の47.7%です(編集部算出)。一方、東京都以外の掲載は1,894社で、全体の8割を占めます(編集部算出)。

順位 都道府県 社数
1 東京都 471社
2 大阪府 202社
3 北海道 182社
4 愛知県 143社
5 福岡県 131社
6 埼玉県 97社
7 神奈川県 85社
8 千葉県 79社
9 広島県 68社
10 兵庫県 64社
11 長野県 47社
12 静岡県 46社
12 沖縄県 46社
14 群馬県 41社
15 宮城県 37社
15 三重県 37社
17 新潟県 36社
17 滋賀県 36社
19 山口県 34社
20 愛媛県 32社
21 茨城県 31社
22 富山県 29社
22 岡山県 29社
24 岐阜県 28社
25 熊本県 27社
26 栃木県 23社
26 京都府 23社
28 福井県 21社
28 香川県 21社
30 長崎県 20社
31 高知県 18社
31 鹿児島県 18社
33 島根県 17社
34 福島県 16社
34 石川県 16社
36 山形県 15社
37 佐賀県 14社
38 岩手県 13社
39 奈良県 12社
40 青森県 11社
41 秋田県 9社
41 大分県 9社
41 宮崎県 9社
44 山梨県 8社
45 和歌山県 7社
46 徳島県 4社
47 鳥取県 3社
- 合計 2,365社

(出典: JASSO「制度導入企業等検索」を編集部が集計。都道府県は検索結果の[地域]欄で、勤務地すべてを表すとは限りません。同数は同順位としています)

自治体が企業の代理返還に補助を出す制度もあります(JASSO「地方公共団体による支援(企業への補助制度)」)。地元で働きたい場合は、都道府県・市区町村の制度も合わせて調べる方法があります。ただし、件数の差と自治体制度の関係は、このデータからは分かりません。

会社の規模・開始年度・支援の方法

掲載企業の8割は社員数300人未満で、制度の利用開始年度は2024年度と2025年度で65.4%を占め、支援の方法は「毎月」が81.2%です(いずれも編集部算出)。

社員数別

社員数 掲載企業数 構成比
1〜29人 597社 25.2%
30〜99人 768社 32.5%
100〜299人 528社 22.3%
300〜999人 320社 13.5%
1,000人以上 151社 6.4%
記載から判別できず 1社 -

(出典: JASSO「制度導入企業等検索」を編集部が集計)

300人未満の合計は1,893社で、80.0%です(編集部算出)。社員数は企業が記入した値で、時点は企業ごとに異なる可能性があります。掲載企業の中心は中小規模の会社で、知名度の高い大企業だけを探す使い方では、見落とす会社が多くなる場合があります。地元の中小企業を志望先に入れている場合は、地域と業種で絞り込んでみる方法があります。

利用開始年度別

利用開始年度 掲載企業数 構成比
2020年度以前 18社 0.8%
2021年度 71社 3.0%
2022年度 123社 5.2%
2023年度 348社 14.7%
2024年度 719社 30.4%
2025年度 828社 35.0%
2026年度 231社 9.8%
2027年度 10社 0.4%
記載なし 17社 0.7%

(出典: JASSO「制度導入企業等検索」を編集部が集計)

2023年度以降の開始が2,136社で、90.3%です(編集部算出)。2027年度は、開始予定を記入したものと読めます。JASSOの2020年12月の公表資料では、それまでは企業から社員に直接支給する方法のみだったとされています。2020年度以前を記入した企業は、その時期から社員への支給で支援していた可能性がありますが、検索結果からは確かめられません。また、JASSOの検索ページには、掲載内容は変更される可能性があるため詳細は各企業等へ問い合わせるよう記載されています。最新の内容は、企業に確かめるのが確実です。

支援の方法と1回の支援額

支援の方法 掲載企業数 構成比
毎月 1,921社 81.2%
12か月ごと 151社 6.4%
その他 150社 6.3%
6か月ごと 87社 3.7%
2か月ごと 36社 1.5%
3か月ごと 19社 0.8%
4か月ごと 1社 0.04%

(出典: JASSO「制度導入企業等検索」を編集部が集計)

「毎月」支援で、1回の支援額を数字だけで記入していた568社に限ると、25%点が1万円、中央値が1万5,000円、75%点が2万円でした(編集部算出)。区分では、1万円未満が31社、1万円台が365社、2万円台が110社、3〜4万円台が45社、5万円以上が17社です。

ただし、支援額は自由記述です。「月賦額と同額」「上限◯円」「社内規定による」のように数字だけではない記入が多く、残りの企業はこの数字に含まれません。全体の相場を表す数字ではありません。支援の総額や期間、対象者の条件も企業ごとに違います。

掲載数2,365社と「利用企業4,852社」は別の数字

JASSOの企業向けサイトでは「令和8年3月末時点で、全国で4,852社が奨学金返還支援(代理返還)制度を利用しています」とされていて、JASSO検索の掲載数2,365社とは一致しません。

検索に出ないことは、制度がないという意味には読めません。志望先が検索に載っていなくても、募集要項や説明会で確かめる価値があります。

代理返還を受けるときの税・社会保険の扱い

会社がJASSOに直接送金した返還額にかかる所得税は、JASSOの企業向けサイト・学生向けサイトや北海道庁の案内で「非課税となり得る」とされ、北海道庁の案内では社会保険の報酬にも原則として含めない扱いとされています。ただし例外があるため、個別の扱いは勤務先に確認します。北海道庁の案内には、次のように書かれています。

「返還者にとって、企業が直接機構に送金することで自身の通常の給与と返還額が区分され、かつ奨学金の返還であることが明確となるため、その返還額に係る所得税は非課税となり得ます。」 「奨学金返還支援(代理返還)による返還金は、原則として報酬に含めません。」 (出典: 北海道「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」)

同じページには例外も示されています。給与規程等により給与に代えて奨学金返還を行う場合は報酬に含まれること、返還者が役員である場合などは課税対象となることがあることです。

なお、支援の額や対象は企業ごとに違うため、会社が送金する分を除いて自分の返還がどの程度残るかは、勤務先とJASSOの案内で確認してください。月々の手取りの考え方は新卒1年目の手取りカレンダーで扱っています。この記事では税額の試算はしません。

体育会・部活動の学生がこのデータを読むときの注意

件数は探しやすさの目安で、制度の中身(額・期間・対象者・退職時の扱い)は企業ごとに違うため、業種の件数だけで志望先を決めず、個別に確かめることが大切です。

1. 「返還支援あり」の中身は会社ごとに違う

検索結果には、社員数、返還支援制度利用開始年度、返還支援方法、1回の返還支援額、返還支援総額、その他返還支援要件が表示されます。編集部が検索結果で確認した記入例では、新卒入社者に限る、正社員に限る、在職中に限るといった要件を記入している企業がありました。「あり」の一言では、自分が対象になるかは分かりません。

2. 入社後の家計は比較項目になりうる

競技の費用を自分で工面してきた方にとって、入社後の家計は具体的な比較項目になりえます。ツナカレメディアの東北大学アイスホッケー部の紹介記事では、編集部が「防具だけで約20万円が必要になるなど、経済的な負担が大きいスポーツです」「学業と両立しながらアルバイトで資金を工面し」と紹介しています(ツナカレメディア、2025年11月21日掲載)。これは部の活動資金についての記事で、奨学金や就活について語ったものではありません。

3. 地元志向なら自治体型の支援も別にある

地元で働きたい場合は、都道府県・市区町村による返還支援(自治体型)も別にあります。企業型と自治体型は別の制度で、居住地や就業地などの条件が細かく決まっていることがあります。条件は自治体ごとに確認してください。

4. 返還支援は企業選びの軸の1つにすぎない

返還支援の有無だけでなく、初任給や住宅手当なども並べて見るのが現実的です。住宅手当は住宅手当の業界別ランキングで整理しています。

志望企業で確かめたい項目と質問例

募集要項の「奨学金返還支援あり」だけで判断せず、対象者・1回の額と総額・期間・退職時の扱い・JASSO以外の奨学金の扱いを確かめると、入社後の見通しが立てやすくなります。

確認項目 確認できる場所 質問例
対象者(新卒・正社員・入社時期) JASSO検索結果・募集要項 「奨学金返還支援は、どのような社員が対象でしょうか。新卒入社の場合も対象になりますか」
1回の支援額と支援総額・上限 JASSO検索結果・説明会 「1回の支援額と、支援の総額や上限を教えていただけますか」
支援の期間と勤続年数による変化 説明会・面談 「支援は何年間でしょうか。勤続年数によって変わることはありますか」
支援の方法(毎月か、まとめてか) JASSO検索結果・説明会 「支援は毎月でしょうか、それとも数か月ごとにまとめてでしょうか」
退職した場合の扱い 内定後の面談・就業規則などの社内規程 「退職した場合の支援の扱いは、どのような規程になっていますか」
JASSO以外の奨学金(大学・自治体・財団)が対象か 説明会・内定後の面談 「JASSO以外の奨学金を借りている場合も、支援の対象になりますか」

退職した場合の扱いは、会社ごとの規程によります。書面で確認できる形にしておくと、入社後に迷いにくくなります。

企業の調べ方全般は企業の職場データの調べ方、求人票の見方は求人票の認定マーク一覧、認定企業の探し方はユースエール認定企業の探し方で扱っています。内定後に条件を確かめる場面では労働条件通知書の見方が使えます。業界研究の進め方は業界研究のポイント(ツナカレメディア)も参考にしてください。

まとめ

JASSOの公式検索の掲載は2,365社で、業種別では建設業が627社と最も多く、上位3業種で半数を超えます。この掲載数は、JASSOが公表する利用企業4,852社(令和8年3月末)とは別の数字で、検索に載っていない企業が制度を導入している場合もあります。件数が多い業種で制度がある会社の割合が高いとは言えず、制度の中身も企業ごとに違います。税や社会保険の扱いも含めて、志望先では個別に確かめるのが現実的です。返還支援は、業界選びの軸の1つにすぎません。

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FAQよくある質問

奨学金の代理返還制度がある企業は、どこで探せますか?
日本学生支援機構(JASSO)の「制度導入企業等検索」で、地域・業種・企業名から探せます。ただし掲載は企業からの依頼に基づくため、制度を導入していても載っていない企業があります。載っていない企業については、直接企業に確認する必要があります。
代理返還制度を導入している企業は何社ありますか?
JASSOの企業向けサイトでは、令和8年3月末時点で全国4,852社が制度を利用しているとされています。JASSO検索の掲載数2,365社(令和8年9月30日更新)とは別の数字で、時点も異なるため、割り算で掲載率を出すことはできません。
代理返還で会社が払った分に所得税はかかりますか?
JASSOの企業向けサイト・学生向けサイトや北海道庁の案内では、会社がJASSOに直接送金した返還額にかかる所得税は「非課税となり得る」とされています。北海道庁の案内では、社会保険の報酬にも原則として含めない扱いです。ただし、給与に代えて返還する場合や役員などは扱いが異なる場合があります。個別の扱いは勤務先に確認してください。

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