引退後に就活を始め、ナビサイト以外で「長く働けそうな中小企業」を探したい。説明会でユースエールのマークを見かけたけれど、何を意味するのか分からない。そんな場面で役に立つ整理です。結論として、ユースエール認定は、12の基準をすべて満たした常時雇用300人以下の中小企業を厚生労働大臣が認定した印で、若者雇用促進総合サイトとしょくばらぼで探せます。ただし前年度・直近3年の実績に基づくため、職種や配属先の差までは分かりません。公表項目を読み、説明会やOB・OG訪問で補う使い方が現実的です。2026年10月22日に確認した、厚労省の制度ページと事業主向けリーフレットを主な出典にしています。
この記事で使う資料と編集部の線引き
使う資料は厚生労働省・若者雇用促進総合サイト・しょくばらぼ・都道府県労働局の公表資料だけで、企業の順位付けや個別企業の推薦はしません。
- 口コミや独自アンケートの数字は入れていません。認定企業の業種別・地域別の構成も扱いません。
- 体育会出身者に限った認定企業の統計は、制作時に確認した範囲では見当たりませんでした。
ユースエール認定企業とは|2026年3月末時点で1,984社
ユースエール認定は、若者雇用促進法に基づき、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況が優良な中小企業(常時雇用する労働者300人以下の事業主)を厚生労働大臣が認定する制度です。認定企業数は2026年3月末現在で1,984社と案内されています。
認定は取って終わりではありません。事業主向けリーフレットによると、認定企業は毎事業年度の終了後1か月以内に、基準への適合状況を報告する必要があります。また、離職理由に虚偽があったと分かった場合(実際は事業主都合なのに自己都合として扱うなど)は、認定が取り消されます。
同じリーフレットには、企業側のメリットとして、ハローワーク等での重点的なPRや、認定企業限定の就職面接会への参加などが挙げられています。ハローワークの窓口や面接会が、認定企業を知るきっかけになることもあります。
認定基準12項目を学生目線で読む
12項目は、「若者向け正社員求人を出している」「育成計画・離職率・残業・有給・育休の5要件」「青少年雇用情報の公表」「過去の取消・内定取消・解雇等がない」に大別できます。基準の文言は事業主向けリーフレットに沿っています。
| 項目 |
基準 |
学生が読み取れること |
| 1 |
学卒求人など若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っている(少なくとも卒業後3年以内の既卒者が応募可) |
新卒や若手が応募できる正社員募集がある企業だと分かります |
| 2 |
若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業である |
若手の採用・育成を方針としている企業だと分かります |
| 3 |
次の5要件をすべて満たす(下記①〜⑤) |
育成計画と、離職・残業・有給・育休の実績の目安になります |
| 4 |
青少年雇用情報(3区分)をすべて公表している |
応募前に企業の情報を比べる材料が公開されています |
| 5・6 |
過去3年間に認定の取消を受けていない/基準を満たさなくなったことで認定を辞退していない |
過去3年の認定の取消・辞退の歴がありません |
| 7・8 |
過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていない/過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていない |
期間内に内定取消しや会社都合の解雇・退職勧奨がなかったことを示します |
| 9〜12 |
暴力団関係事業主・風俗営業等関係事業主でない/雇用関係助成金の不支給措置を受けていない/重大な労働関係等法令違反を行っていない |
法令順守に関する基準です |
項目3の5要件は次のとおりです。
- ①「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定している
- ②直近3事業年度に正社員として就職した新卒者等の離職率が20%以下である
- ③前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下で、かつ月平均の法定時間外労働が60時間以上の正社員が1人もいない
- ④前事業年度の正社員の有給休暇について、付与日数に対する取得率が平均70%以上、または年間取得日数が平均10日以上である
- ⑤直近3事業年度に男性の育児休業等取得者が1人以上いる、または女性の育児休業等取得率が75%以上である
体育会の就活生にとっては、③の残業時間と④の有給が、競技や週末の予定と両立できるかを考える目安になります。ただし、これは会社全体の実績です。
数字の基準を読むときの注意点(算定条件)
数字の基準には算定条件があり、条件を知らないと読み違える場合があります。次の点は、すべて事業主向けリーフレットの注記によるものです。
- 離職率は、直近3事業年度の合計で見ます。採用者数が3人または4人の場合は、離職者1人以下で可とされています。
- 対象は「正社員」です。直接雇用で期間の定めがないことなどが条件で、派遣契約で業務に従事する人は除かれます。
- 所定外労働時間は、会社の所定労働時間を超えた時間です。法定時間外労働(1日8時間・週40時間超)とは数え方が異なる場合があります。災害復旧など労働基準法第33条第1項の許可を得た時間等は除くことができます。
- 有給休暇には、「就業規則等に規定する」「有給である」「毎年全員に付与する」の3条件を満たす休暇を、1人あたり5日を上限に加算できます。会社独自の特別休暇が含まれている場合がある、ということです。
- 育児休業は、取得対象者がいない場合は制度が定められていれば可とされています。くるみん認定を取得した企業は、認定年度を含む3年度間は問われません。
全国の統計とそのまま比べない
ユースエールの数字は、全国統計と定義や集計対象が違うため、「全国平均より良い」とは単純に言えません。位置づけを知る目安として使います。
離職率の定義の違いは新卒の離職率データの読み方で、残業と有給の業界別データは業界別 残業時間ランキングと有給取得率の業界別ランキングで詳しく扱っています。
ユースエール認定企業の探し方|公的な3つのルート
探し方は、若者雇用促進総合サイト、しょくばらぼ、ハローワークの3ルートです。総合サイトの一覧で候補を拾い、しょくばらぼや企業ページで数字と制度を読み、求人や面接会はハローワークで探す、という使い分けがしやすい方法です。
若者雇用促進総合サイト|一覧と企業検索
「全国のユースエール認定企業」の一覧は、8つの地方から都道府県の順に開き、企業名が並ぶ形式です。サイトの使い方ページによると、青少年雇用情報の比較やユースエール認定企業のPRシートの閲覧ができます。認定企業以外で新卒募集を行う企業が、自主的に提供した情報も載っています。
- 一覧で、志望する勤務地の都道府県を開きます。
- 気になる企業名から、企業ページへ進みます。
- 公表されている項目とPRシートを読みます。
- 採用ページや求人で、募集職種を確認します。
2026年10月22日の確認時点では、一覧に社数や更新日の表示は見当たりませんでした。時点は企業ページや企業への確認で補ってください。
しょくばらぼ|認定企業の職場情報を検索
職場情報総合サイト「しょくばらぼ」の特集ページにある「ユースエール認定を受けた職場情報を検索」ボタンから「検索」へ進むと探せます。新卒者の採用・定着状況(過去3年度分・男女別)、平均勤続年数、月平均所定外労働時間、有給取得日数、研修制度などを確認できます。企業を並べて数字を比べたいときに向いています。
ハローワーク|認定企業の求人と面接会
大学などの在学生や卒業後おおむね3年以内の人を対象にした新卒応援ハローワークなどの窓口で、相談できます。大学生等を対象とした求人は全国のハローワークで受理され、インターネットで公開されています(山形労働局の案内の例)。認定企業の求人かどうかは、求人票や総合サイトの認定企業一覧と照らして確認します。大学のキャリアセンターに届く求人と並べて見る方法もあります。企業探しの全般的な進め方は、ツナカレメディアの企業の探し方も参考になります。
応募前に企業ページで確認したい公表項目チェック表
認定企業は青少年雇用情報の3区分をすべて公表しているので、数字と制度を、自分の働き方の希望と照らして読みます。区分と項目は事業主向けリーフレットの認定基準4に沿っています。
| 区分 |
公表される項目 |
体育会の就活生が見るポイント |
| ①募集・採用に関する状況 |
直近3事業年度の新卒者等の採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数 |
毎年何人採用しているか(同期の人数)。採用数が少ない年は、離職者1人で率が大きく動いて見える点に注意します |
| ②職業能力の開発・向上 |
研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定などの有無と内容 |
入社後の育ち方が具体的に書かれているかを見ます |
| ③職場への定着の促進 |
前事業年度の月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)、役員・管理職の女性割合 |
社会人でも競技を続けたい、週末の時間を確保したい場合の目安になります |
認定企業でない企業でも、新卒募集をする企業は、応募者等から求めがあれば、3区分ごとに1つ以上の情報を提供する義務があります。問い合わせ文の例は募集要項の用語集にまとめているので、そちらを使ってください。
認定だけでは分からないこと|限界を知って使う
認定は会社全体の過去の実績に基づく印で、配属先・職種ごとの働き方、入社後の変化、大企業との比較までは分かりません。次の点を知った上で使います。
- 対象は300人以下の中小企業だけです。大企業は制度上、対象外です。認定がないことは、働きにくいことを意味しません。
- 数字は前事業年度や直近3事業年度の実績です。毎年度の報告はありますが、自分が入社する年の状況を約束するものではありません。
- 会社全体の平均なので、部署や職種、繁忙期による差は見えません。
- 採用人数が少ない企業は、1人の離職で率が大きく動きます。率だけでなく、採用者数と離職者数の実数もあわせて見ると読み違えにくくなります。
- 仕事内容や社風、自分との相性は、認定からは分かりません。
説明会やOB・OG訪問で補う質問
公表された数字の裏側は、直接聞いて補います。質問には「長く働きたいので」と理由を添えると、詰問の印象を与えにくくなります。
| 質問の例 |
狙い |
| 公表されている残業時間は、新卒が配属されやすい部署でも同じくらいですか |
会社全体の平均と、配属先の実態の差を確かめます |
| 入社1〜3年目の方は、どんな研修やフォローを受けていますか |
育成計画が実際にどう運用されているかを確かめます |
| メンターはどんな頻度で関わりますか |
制度の有無だけでなく、関わり方の具体性を確かめます |
| 繁忙期はいつ頃で、その時期の働き方はどう変わりますか |
平均に隠れた時期による差を確かめます |
| 社会人になって競技や趣味を続けている社員の方はいますか |
競技や趣味と両立している働き方の実例を確かめます |
取材企業の例|研修・メンター制度は具体的に答えが返ってくる場合がある
質問への答えが具体的だと、企業どうしを比べやすくなります。ツナカレメディアの取材から2社の例を挙げます。なお、両社がユースエール認定企業かどうかは、この記事では扱っていません。
- 不動産のタカマツハウス株式会社は、入社後1か月の研修のあと、OJTとメンターのサポートを受けながら3年目に独り立ちする流れを説明しています(取材記事)。
- 税理士事務所のステラリンクス税理士事務所は、社内マニュアル・電子書籍・レクチャー・OJTの4段階で教育を体系化していると説明しています(取材記事)。
公表項目②の「研修内容・メンター制度」を、ここまで具体的に聞けると比較しやすくなります。取材した2社の例で、どの企業も同じとは限りません。
体育会の就活でユースエールを使う手順
ユースエールは候補を広げる段階で使い、絞る段階では公表項目と面談で確かめる、という位置づけです。次の4ステップで進められます。
- 就活の軸を決めます。勤務地や働き方の希望(競技を続けるか、週末の時間をどう確保するか)を書き出します。
- 若者雇用促進総合サイトやしょくばらぼで、志望する勤務地の都道府県から候補を拾います。
- 公表項目チェック表の3区分を読み、気になる点をメモします。
- 説明会・OB・OG訪問・面接で、メモした点を質問して確かめます。
大手と中小で迷っている場合は、大手企業と中小企業はどちらを選ぶかで比べ方を整理しています。
まとめ
ユースエール認定は、300人以下の中小企業を対象に、厚生労働大臣が12の基準で認めた印です。若者雇用促進総合サイトとしょくばらぼで探せ、ハローワークの求人や面接会を通じて出会う場合もあります。ただし、数字は会社全体の過去の実績で、全国統計とは定義が異なり、配属先や社風までは分かりません。認定の有無で企業の良し悪しを決めず、「判断材料の1つ」として公表項目を読み、説明会やOB・OG訪問で確かめる使い方をおすすめします。
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