「インターンの参加率は87.1%」といった数字を目にして、自分が出遅れているのではないかと不安になり検索を続けたものの、結局どの数字を基準にすればよいのか判断がつかなかった、ということがあるかもしれません。結論からいうと、「インターンの参加率」と呼ばれる数字は、①いつ時点で測ったか ②どのプログラムの類型を数えたか ③どの調査によるものか という3つの条件によって、まったく別の数字になります。実際、同じ2028年卒を対象にした調査でも、4月時点の参加率は19.1%、7月時点では55.4%と公表されています。この記事では、公表されている調査の数値を出典付きで並べ、体育会学生が自分の状況にどう読み替えればよいかの手順を扱います。

この記事が扱う調査と、あえて使わない数字

この記事で使う数字の範囲は、次の4点に絞っています。

  1. 本文で使うのは、調査主体が自社サイトのHTMLページで公表している数値だけです。具体的にはマイナビキャリアリサーチLab、HUMAN CAPITALサポネット、就職みらい研究所の公表ページを参照しています。
  2. 編集部による独自アンケートは実施しておらず、調査や企業を編集部が順位付けすることもしていません。
  3. 二次報道で伝えられている数値であっても、調査元の公表ページ上で確認できなかったものは使用していません。
  4. 制作時点で、体育会学生だけを対象に集計したインターンシップ参加率の調査は確認できませんでした。そのため本記事では、体育会学生向けの数字を新たに示すのではなく、公表されている全体の統計を自分の状況に読み替える手順を扱います。

結論|「参加率」は3つの条件で別の数字になる

「インターン参加率」と呼ばれる数字は、時点・類型・調査主体という3つの条件によって、同じ学年を対象にしていてもまったく異なる値になります。まず3条件の全体像を示します。

条件 何が変わるか 本記事で扱う具体例
時点 調査した月が違うと数字が大きく動く 2028年卒で4月19.1%、7月55.4%
類型 数えているプログラムの長さ・内容で割合が変わる 2028年卒・7月時点で5日間以上のプログラムは12.8%
調査主体 対象・時期・設問が異なる調査ごとに数字が変わる 78.8%/85.3%/87.1%が並んで公表されている

数字が食い違って見えても、どれかが誤っているということではありません。測っている対象と条件が違う、別々の調査結果だからです。次の章から、条件ごとに公表されている数字を具体的に見ていきます。

条件①時点|同じ学年でも4月19.1%から7月55.4%まで動く

同じ2028年卒業予定の学生を対象にした調査でも、調査した月が違うだけで参加率は3倍近くまで動きます。

マイナビ「2028年卒大学生キャリア意向調査」の月次データは次のとおりです。

調査時点 その月に参加した割合 前月比
2026年4月 19.1% —
2026年5月 32.9% 13.8ポイント増
2026年6月 42.0% (公表ページに前月比の記載なし)
2026年7月 55.4% 13.4ポイント増

(出典: マイナビ 2028年卒大学生キャリア意向調査(4月)/同(5月)/同(6月)/同(7月)。前月比は各月の公表ページに記載があるものだけを転記しています)

ここで注意したいのは、この参加率が「その月に参加した割合」として公表されている点です。つまり、それまでの累計で何%が参加済みかを示す数字ではありません。そのため、この月次の数字と、後の章で扱うマイナビ2027年卒(中間総括)の87.1%のような数字を、そのまま足したり比べたりすることはできません。

条件②類型|「参加率」の中身は5日間以上のプログラムだけではない

同じ「参加率」でも、数えているプログラムの類型によって数字は大きく異なります。5日間以上のインターンシップだけを指しているとは限りません。

マイナビの2つの調査を、類型別に並べると次のようになります。

調査・時点 インターンシップ(5日間以上のプログラム) 仕事体験(就業体験ができる短期間プログラム) オープン・カンパニー&キャリア教育等
2028年卒・2026年5月 7.0%(前月比3.0ポイント増) 9.0%(前月比5.2ポイント増) 22.5%(前月比8.1ポイント増)
2028年卒・2026年7月 12.8%(前年同月比5.9ポイント増) 26.4%(前年同月比横ばい) 35.9%
2027年卒・2025年10月(中間総括) 27.7% 57.0% 71.8%

(出典: 2028年卒5月・7月は前章と同じ資料、2027年卒大学生キャリア意向調査(中間総括)。2028年卒の調査ではこの区分が「インターンシップ(実務体験を含む5日間以上のプログラム)」、オープン・カンパニー&キャリア教育等が「主に企業、仕事理解のためのプログラム」と説明されています)

3行を縦に見ると、どの時点でも5日間以上のプログラムの数字がいちばん小さく、オープン・カンパニー&キャリア教育等がいちばん大きくなっています。「参加率」という1つの数字だけを見ると、この差は見えません。

なお、インターンシップの区分については、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(三省合意)を公表しています。この文書は令和4年6月13日に改正され、本文は文部科学省のページからPDFで公開されています(出典: 文部科学省 大学等におけるインターンシップの推進)。本記事では合意文書そのものの内容には立ち入らず、区分の名称と数値は各調査の公表表記のまま扱います。

なお、プログラムの種類そのものの詳しい解説は、インターンシップの種類と違い(ツナカレメディア)に譲ります。

条件③調査主体|78.8%・85.3%・87.1%が並ぶ理由

同じ「参加率」という言葉でも、調査主体・調査時期・対象が異なれば、公表される数字も78.8%から87.1%まで幅を持ちます。

調査名 調査時期 対象と回収数 公表されている参加率
就職みらい研究所「2026年卒 インターンシップ・就職活動準備に関する調査」 2024年9月24日〜10月7日 『リクナビ2026』会員のうち2026年3月卒業予定の大学生・大学院生(大学生887人・大学院生287人) 9月時点78.8%(平均参加社数5.75社)
マイナビ「2026年卒大学生広報活動開始前調査」 2025年2月1日〜2月9日 2026年3月卒業予定の全国の大学生・大学院生2,007名 インターンシップ・仕事体験の参加率85.3%(平均参加社数5.2社)
マイナビ「2027年卒大学生キャリア意向調査(中間総括)」 2025年10月5日〜10月14日 マイナビ2027会員のうち2027年3月卒業見込みの全国の大学3年生・大学院1年生1,396名 各種キャリア形成活動の参加率87.1%

(出典: 就職みらい研究所 2026年卒 インターンシップ・就職活動準備に関する調査/マイナビ 2026年卒大学生広報活動開始前調査/マイナビ 2027年卒大学生キャリア意向調査(中間総括))

いずれも就職情報サイトの会員を対象にした調査であり、全国の大学生を対象にした全数調査ではありません。

過去との比較にも注意が必要です。上記のマイナビ「2026年卒大学生広報活動開始前調査」の公表ページには、平均値の集計方法が卒業年度によって異なるため24年卒以前の結果は参考値として扱う旨の注記が添えられています。また就職みらい研究所の「インターンシップ参加割合」のカテゴリでは、9月時点の参加割合として2022年卒が約47%、2023年卒・2024年卒がいずれも約7割と公表されています(出典: 就職みらい研究所 インターンシップ参加割合)。対象・時期・設問が異なることは公表資料から確認できますが、どちらの調査がより実態に近いかについては、本記事では扱いません。

体育会学生がこの数字を自分に読み替える4つの問い

これまで見てきた3条件を踏まえると、公表されている参加率をそのまま自分と比べるのではなく、次の4つの問いに置き換えて読むことで判断しやすくなります。

  1. その数字は何月時点のものか。自分がこれから動ける月と比べる材料にします。
  2. その数字は累計か、その月だけの数字か。月次の数字を累計だと思い込むと、実際より進んでいるように見えてしまう場合があります。
  3. 数えられているのはどの類型か。5日間以上のプログラムなのか、半日〜数日程度のものも含むのかで、意味合いが変わります。
  4. 誰を対象にした調査か。就職情報サイトの会員を対象にしたものか、より広い範囲を対象にしたものかを確認します。

部活動の日程の都合で参加できるプログラムの時期や種類が限られる場合、全体の参加率をそのまま自分と比べるより、自分が実際に動ける時期と類型に数字を置き換えて考えるほうが、判断の手がかりになりやすいと考えられます。たとえば夏の長期プログラムに出にくい場合でも、比べる相手は全体の参加率ではなく、同じ調査の類型別の数字になります。マイナビ 2028年卒大学生キャリア意向調査(7月)では、5日間以上のプログラムに参加した割合は12.8%と、オープン・カンパニー&キャリア教育等の35.9%より低い水準で公表されています。いつから動き始めるかの一般的な考え方は、インターンシップいつから始める(ツナカレメディア)も参考にしてください。

数字より先に、日程から逆算できることもある

全体の参加率を見る前に、志望する企業が実際にいつインターンを実施しているかを確認したほうが、動きやすくなる場合があります。

株式会社オープンハウス・ディベロップメントは、大学2年の1月という早期にもインターンを開催していることをツナカレメディアの取材で語っています。背景には「学生の選択肢を増やしたい」という思いがあるとし、自社と直接関係のない「全業種徹底解剖セミナー」というコンテンツも作成したと紹介されています(取材記事、2025年10月15日掲載)。これは取材した1社の例であり、すべての企業が同じ時期に実施しているとは限りません。ただ、学年や時期の想定が企業側で分かれている場合があることは、この例からも分かります。

株式会社VEXUMは、インターン採用で見ている点として「過去に何かに打ち込んだ経験がある人(スポーツ、バイトなど)」を挙げていることをツナカレメディアの取材で語っています(取材記事、2026年1月20日掲載)。これも1社の例であり、他の企業が同じ基準を採用しているとは限りません。

募集時期は企業によって幅があります。参加率の数字を眺めるより先に、志望度の高い企業の募集時期を確認するほうが、実際の行動につながりやすい場合があります。

インターン参加率データでやりがちな3つの読み違い

ここまでの3条件を裏返すと、読み違いが起きる箇所は次の3つに整理できます。

  1. 月次の参加率を累計だと思って読んでしまうことです。4月時点の19.1%と、時期の異なる中間総括の87.1%を同じ物差しで比べると、実態とずれた印象を持ちやすくなります。
  2. 全体の参加率を、5日間以上のインターンシップだけの参加率だと思って読んでしまうことです。7月時点で5日間以上のプログラムに参加した割合は12.8%であり、全体の参加率とは差があります。
  3. 調査元が異なる数字を、そのまま年次推移として並べてしまうことです。対象・時期・設問が調査ごとに異なるため、単純な推移としては読めません。

まとめ

インターンの参加率と呼ばれる数字は、①時点 ②類型 ③調査主体という3つの条件によって別の数字になります。数字を見る前に、何月時点のものか、どの類型を数えているか、誰を対象にした調査かの3点を確認すると、自分の状況に当てはめやすくなります。就職率や離職率の統計も同様に、分母や集計方法を確認したうえで読む必要があります。あわせて就職率データの読み方、新卒離職率データの読み方も参考にしてください。

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