大卒の就職先 業界別ランキング|19産業を学校基本調査で比較

公開読了約14分執筆ツナカレ就活編集部

引退まで練習が続くと、業界研究に使える時間は限られます。そのなかで「新卒は実際どの業界に入っているのか」を、1つの表で知りたい人もいるでしょう。2025年3月に大学を卒業して就職した44万9,638人の就職先は、卸売業,小売業が13.7%で1位でした。卸売・小売、医療・福祉、情報通信、製造の上位4産業で、全体の約半分(49.3%、編集部算出)を占めます。

この記事で使うのは、文部科学省の「学校基本調査」という公的統計1つだけです。数字を編集部が並べ替えており、順位は人数の大小で機械的に決まったもので、編集部の評価ではありません。また、このランキングが示すのは「新卒を受け入れている人数の大きさ」です。人気、倍率、待遇、入りやすさを示すものではない点を、先にお伝えしておきます。

この記事の数字の出どころと読み方の前提

使うのは、学校基本調査 令和7年度(確定値)の大学(学部)の産業別・職業別の就職者数です。全数調査のため、実際に就職した人の行き先を表します。

調査の概要は次のとおりです。

項目 内容
調査名 学校基本調査 令和7年度(確定値)
実施主体 文部科学省
対象 大学(学部)を2025年3月に卒業した人(表の区分「令和7年3月」)
公表日 2025年12月26日
就職者の定義 自営業主等、無期雇用労働者、雇用契約期間が1年以上かつフルタイム勤務相当の有期雇用労働者、進学者のうち就職している者
取得日 2026年10月27日

(出典: 文部科学省「学校基本調査」令和7年度 高等教育機関 卒業後の状況調査 大学 表78「産業別就職者数」(2026年10月27日取得)。統計表一覧はe-Stat、概要は学校基本調査-令和7年度 結果の概要-)

表78の注には「この表の就職者数には,進学しかつ就職した者を含む」とあります。卒業者に占める就職者の割合は77.0%で、前年度より0.5ポイント上昇しました(公表資料PDF)。この記事の線引きは次のとおりです。

  • 公表されている数値をそのまま並べています。割合を再計算した場合は「編集部算出」と付けています。
  • 男女別の数字は扱いません。表は男女計の値です。
  • 企業別・大学別の就職先は扱いません。
  • 体育会・部活動の所属で区分した集計は、この統計にはありません。就職率の分母の違いなどは体育会の就職率データの読み方で整理しています。

結論|1位は卸売業,小売業の13.7%、上位4産業で約半分

2025年3月卒の大卒就職者449,638人のうち、最も多いのは卸売業,小売業の61,510人(13.7%)で、上位4産業の合計は221,789人、約49.3%(編集部算出)です。

前年(2024年3月卒)の総数は451,794人で、2,156人減(編集部算出)でした。産業別のランキングは次のとおりです。

順位 産業 人数 構成比
1 卸売業,小売業 61,510人 13.7%
2 医療,福祉 59,988人 13.3%
3 情報通信業 52,592人 11.7%
4 製造業 47,699人 10.6%
5 教育,学習支援業 34,063人 7.6%
6 サービス業(他に分類されないもの) 31,209人 6.9%
7 公務(他に分類されるものを除く) 29,298人 6.5%
8 金融業,保険業 28,125人 6.3%
9 学術研究,専門・技術サービス業 22,593人 5.0%
10 建設業 21,591人 4.8%
11 不動産業,物品賃貸業 13,899人 3.1%
12 運輸業,郵便業 13,396人 3.0%
13 宿泊業,飲食サービス業 11,911人 2.6%
14 生活関連サービス業,娯楽業 10,492人 2.3%
15 複合サービス事業 3,317人 0.7%
16 電気・ガス・熱供給・水道業 2,715人 0.6%
17 農業,林業 861人 0.2%
18 鉱業,採石業,砂利採取業 203人 0.05%
19 漁業 92人 0.02%
順位外 上記以外のもの 4,084人 0.9%

(出典: 学校基本調査 令和7年度 表78。順位は人数の大小で編集部が並べた)

上位4産業

  • 卸売業,小売業(1位): 卸売業26,793人と小売業34,717人の合計です。1位とはいえ、2つの業種を合わせた数字である点に注意が必要です。
  • 医療,福祉(2位): 59,988人のうち、保健系学科の出身者が39,794人で66.3%(編集部算出)を占めます。医療業,保健衛生が44,693人、社会保険・社会福祉・介護事業が15,295人です。
  • 情報通信業(3位): 52,592人で11.7%です。学科系統別に見ると、社会科学の出身が22,011人、工学の出身が10,700人で、文系・理系の両方から就職者がいる産業です。
  • 製造業(4位): 47,699人で10.6%です。内訳は、はん用・生産用・業務用機械器具製造業が8,005人、食料品・飲料・たばこ・飼料製造業が7,264人、電気・情報通信機械器具製造業が5,883人などで、扱う製品によって中身は大きく異なります。

5〜10位

  • 教育,学習支援業(5位): 34,063人のうち、教育系学科の出身者が18,643人で54.7%(編集部算出)です。
  • サービス業(他に分類されないもの)(6位): 31,209人で6.9%です。名前から中身を想像しにくい区分のため、志望企業がここに入るかどうかは、事業内容を見て確かめる必要があります。
  • 公務(7位): 29,298人のうち、国家公務が6,147人、地方公務が23,151人です。地方公務は約8割(79.0%、編集部算出)にあたります。
  • 金融業,保険業(8位): 金融業21,789人と保険業6,336人の合計28,125人です。
  • 学術研究,専門・技術サービス業(9位): 22,593人で5.0%です。
  • 建設業(10位): 21,591人で4.8%です。

人数が少ない産業の読み方

電気・ガス・熱供給・水道業は2,715人(0.6%)、鉱業,採石業,砂利採取業は203人(0.05%)と少数ですが、この統計から分かるのは実際に就職した人数までです。応募者数や採用枠は載っていないため、入りにくさや倍率は読み取れません。求人と学生の比率を知りたい場合は大卒求人倍率の推移データの読み方を参照してください。

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学科系統で分けると順位が入れ替わる

社会科学と人文科学では医療,福祉は上位から外れ、卸売業,小売業と情報通信業が1・2位に並びます。工学では製造業が1位です。

全体の順位は、学科系統ごとの就職先を足し合わせた結果です。次の表は、学科系統別の上位を並べたものです(構成比はすべて編集部算出)。

順位 社会科学(就職者164,355人) 人文科学(就職者67,759人) 工学(就職者48,221人)
1 卸売業,小売業 27,509人 16.7% 卸売業,小売業 11,414人 16.8% 製造業 12,145人 25.2%
2 情報通信業 22,011人 13.4% 情報通信業 8,162人 12.0% 情報通信業 10,700人 22.2%
3 金融業,保険業 18,607人 11.3% 製造業 6,277人 9.3% 建設業 8,181人 17.0%
4 製造業 16,241人 9.9% サービス業(他に分類されないもの) 6,211人 9.2% サービス業(他に分類されないもの) 4,164人 8.6%
5 公務 14,244人 8.7% 教育,学習支援業 5,139人 7.6% 学術研究,専門・技術サービス業 2,954人 6.1%
6 サービス業(他に分類されないもの) 12,859人 7.8% 金融業,保険業 4,730人 7.0% -
7 学術研究,専門・技術サービス業 9,555人 5.8% 運輸業,郵便業 4,322人 6.4% -
8 不動産業,物品賃貸業 8,000人 4.9% 公務 4,042人 6.0% -
9 建設業 6,960人 4.2% 宿泊業,飲食サービス業 3,228人 4.8% -
10 医療,福祉 6,901人 4.2% 学術研究,専門・技術サービス業 3,050人 4.5% -

(出典: 学校基本調査 令和7年度 表78。学科系統は「付属資料-学科系統分類表」による。構成比は各学科系統の就職者に占める割合で、編集部が算出。工学は上位5産業のみ)

全体2位の医療,福祉と教育は、特定の学科系統が押し上げている

全体の2位である医療,福祉は、保健系学科の出身者が66.3%を占めています。見方を変えると、保健系学科の就職者51,231人の77.7%が医療,福祉に就職しています(編集部算出)。教育,学習支援業も同様で、教育系学科の就職者37,714人の49.4%が教育,学習支援業に就職しています(編集部算出)。

つまり、全体の順位が高い産業のなかには、特定の学科系統の学生が多く入っていることで上位になっているものがあります。全体の順位が、どの学科系統の学生にも同じように当てはまると読むと、自分の状況とずれる場合があります。

自分の学科系統の表で読み直す

全体の順位を、そのまま自分に当てはめることはおすすめできません。たとえば社会科学では医療,福祉は10位(4.2%)で、工学では上位5産業に入っていません。まず自分の学科系統の列を見て、上位に出てくる産業を確認するところから始めると、全体の表よりも自分に近い条件で読めます。

ここに掲載していない学科系統(理学、農学、保健など)の表は、出典の表78から確認できます。

職業別に見ると「専門的・技術的」が41.2%、販売・事務が約24%ずつ

職業の大分類では、専門的・技術的職業従事者が185,379人(41.2%)で最も多く、事務従事者(23.9%)と販売従事者(23.7%)が約24%ずつで続きます。

産業が「どの業界の会社に入るか」を表すのに対し、職業は「入社後どんな仕事をするか」を表します。同じ調査の表79「職業別就職者数」では、次のとおりです。

職業(大分類) 人数 構成比
専門的・技術的職業従事者 185,379人 41.2%
事務従事者 107,317人 23.9%
販売従事者 106,761人 23.7%
サービス職業従事者 24,533人 5.5%
保安職業従事者 6,428人 1.4%
生産工程従事者 3,615人 0.8%
管理的職業従事者 2,620人 0.6%
輸送・機械運転従事者 1,370人 0.3%
建設・採掘従事者 833人 0.2%
農林漁業従事者 718人 0.2%
運搬・清掃等従事者 551人 0.1%
上記以外 9,513人 2.1%

(出典: 学校基本調査 令和7年度 表79「職業別就職者数」(2026年10月27日取得)。総数449,638人、男女計)

「販売従事者」には営業が含まれる

総務省の日本標準職業分類では、大分類「販売従事者」の中に中分類「営業職業従事者」があり、商品を売る仕事だけを指す区分ではありません(日本標準職業分類)。学校基本調査の職業区分の名称はこの大分類名と同じですが、細かな集計上の扱いは調査の手引で確認が必要です。そのため、この記事では「販売従事者の多くが営業職」とまでは断定せず、営業の仕事が含まれている可能性がある区分として紹介します。

文系出身の情報処理・通信技術者

専門的・技術的職業のうち「情報処理・通信技術者」は39,559人です。このうち人文科学の出身が4,551人、社会科学の出身が14,035人で、合計18,586人、約47.0%(編集部算出)を占めます。これは実際に就職した人数であり、「文系なら誰でもIT技術職に就ける」という意味ではありません。

社会科学系は事務35.9%・販売34.6%

社会科学の就職者を職業別に見ると、事務従事者が59,018人(35.9%)、販売従事者が56,834人(34.6%)、専門的・技術的職業従事者が27,548人(16.8%)です(いずれも編集部算出)。全体では専門的・技術的が最も多いのに対し、社会科学では事務と販売が上位で、職業の面でも学科系統によって分布が異なります。

このランキングを就活で使うときの注意点4つ

「人数が多い=受け皿が大きい」以外のこと、つまり倍率、待遇、人気、体育会の傾向は、この統計からは読み取れません。使うときの注意点は次の4つです。

1. 倍率や入りやすさではない

就職者が多い産業は、新卒を受け入れた人数が多い産業です。ただ、それが入りやすいことを意味するとは限りません。応募者の数が多ければ、競争が激しい場合もあるからです。求人数と学生数の比率は大卒求人倍率の推移データの読み方で確認できます。

2. 待遇は別の統計で確かめる

就職者が多い業界の待遇が良い、とは言えません。賃金は別の統計で確かめる必要があります。業界別の平均賃金ランキングでは、同じ日本標準産業分類の大分類を使って、16産業の平均賃金を比べています。ただし、そちらは16産業で、この記事の19産業とは対象の範囲が異なります。

3. 統計の「産業」は就活サイトの「業界」と一致しない場合がある

統計の産業区分は、日本標準産業分類に基づいています。就活サイトで使われる「業界」の区切りとは、一致しない場合があります。たとえば、日本標準産業分類では、メーカーの多くは製造業、ITサービス企業の多くは情報通信業に分類されますが、企業ごとの分類は事業内容によって異なります(e-Stat)。志望企業がどの産業にあたるかは、事業内容を確認してから表を見ると、読み違いを減らせます。

4. 1年分の数字で、体育会の学生だけの数字ではない

この記事の数字は、2025年3月卒の1年分です。年によって順位が変わる可能性があります。また、体育会・部活動の学生だけを集計した公的統計は、確認できていません。全体の数字は、あくまで参考の目安にとどめてください。

体育会・部活動の学生が業界研究に使う3ステップ

①自分の学科系統の上位を「見ておく候補」にする、②自分の軸で絞る(ランキングの順位では決めない)、③応募先の配分を決める、の順で使う方法があります。

練習や試合で時間が限られている場合は、次の表の順に、できるところから進める方法があります。

ステップ やること 使う資料
① 見ておく候補を決める 自分の学科系統の上位の産業を、「見ておく候補」として書き出す この記事の学科系統別の表、表78
② 自分の軸で絞る 勤務地、仕事内容、競技との両立など、自分の基準で候補から絞る OB・OG訪問、説明会、企業の募集要項
③ 応募先の配分を決める 練習や試合の日程を踏まえ、応募する企業数と時期を決める 自分のスケジュール、企業の選考日程

メモ欄は、次のように使えます(記入例は編集部が作成した架空の例です)。

項目 記入例(架空)
学科系統 社会科学
見ておく候補 卸売業,小売業/情報通信業/金融業,保険業
自分の軸 地元で働く/部活の経験を活かせる
応募先の配分 引退前は3社、引退後に追加で5社

ステップ②は、ランキングの順位とは別の軸で絞った例が参考になります。ツナカレメディアの取材では、次のような声がありました。

  • 東北大学アイスホッケー部のOBは、部活を続けながら就活したため応募企業を6社に絞りました。地元愛からデベロッパー業界を志望したそうです(取材記事、2026年1月22日取材)。
  • 成蹊大学体育会サッカー部のOBは、幅広い企業を見るためにOB訪問を重ね、広告業界への関心から映像制作会社に新卒入社しました(取材記事、2026年4月1日取材)。
  • 慶應義塾大学アメリカンフットボール部のOBは、スポーツ業界を志望していましたが、基礎スキルの習得を優先してメガバンクに入行しました(取材記事、2026年5月19日取材)。

3人に共通するのは、ランキングの上位かどうかではなく、自分の軸で絞っている点です。ただし、これは3件の取材での事例で、体育会の学生全体の傾向を示すものではありません。

業界がなかなか絞れない場合は、業界が絞れない体育会の学生向けの手順も参考にしてください。

まとめ

数字の要点は次の3つです。

  • 2025年3月卒の大卒就職者449,638人のうち、1位は卸売業,小売業の13.7%で、上位4産業で約49.3%(編集部算出)です。
  • 学科系統で分けると順位が入れ替わります。医療,福祉と教育は、保健系・教育系の学科の出身者が押し上げています。
  • 職業別では専門的・技術的が41.2%で最多、事務と販売が約24%ずつです。

このランキングは新卒の受け皿の大きさを示すもので、倍率や待遇は別の資料で確かめる必要があります。自分の学科系統の表で読み直し、自分の軸で絞る使い方がおすすめです。業界の候補を一緒に整理したい場合は、ツナカレ就活の無料相談も利用できます。

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FAQよくある質問

大卒の就職先で最も多い業界はどこですか?
文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025年3月卒)では、卸売業,小売業が61,510人(13.7%)で最も多く、次いで医療,福祉が13.3%、情報通信業が11.7%です。これは就職者の人数の多さを示す数字で、人気や入りやすさを示すものではありません。
文系の就職先で多い業界は?
学校基本調査 令和7年度の学科系統別(編集部算出)では、社会科学は卸売業,小売業16.7%、情報通信業13.4%、金融業,保険業11.3%の順です。人文科学は卸売業,小売業16.8%、情報通信業12.0%、製造業9.3%の順でした。
体育会の学生だけの就職先データはありますか?
学校基本調査には部活動の所属による区分がないため、体育会の学生だけの就職先を公的統計から取り出すことはできません。全体の数字は、自分の学科系統の表に読み替えて使う方法があります。

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