「周りはもう説明会の話をしている」「何を調べればいいのか、そもそも分からない」。練習や試合が続いていると、就活の情報収集に手が回らず、遅れているのではと感じる場合があります。
結論から言うと、情報収集に出遅れたと感じたら、手当たり次第に集める前に、「日程」「業界」「企業と選考」「自分の材料」の4層に分け、日程から順に集めるのが一つの進め方です。 集める順番が決まると、限られた時間でも「今日やること」が小さく決まり、動き出しやすくなります。
この記事は、焦りの気持ちそのものを扱う記事ではありません。同じ部のチームメイトとの比較で焦る場合は体育会でチームメイトと就活に差がついて焦る、3年生全体の「何もしていない」という感覚は体育会3年生で就活何もしてないと感じたら読む記事をご覧ください。ここでは、情報をどの順番で・どこから集めるかという実務の部分に絞ります。
情報収集が遅れていると感じる背景
遅れの感覚は、実際の遅れだけでなく、「何から集めればよいか分からない」状態から生まれている場合があります。 ただし、これは編集部の見方であり、個々の状況で異なります。
公開されている調査から手がかりを紹介します。電通のコンサルチーム「採用ブランディングエキスパート」が2024年7月22日〜8月5日に、体育会運動部所属の大学生・大学院生303人を対象に実施した「学生アスリート 就活まるわかり調査」です。同調査の発表では、就活中の悩みの上位は次の3つでした(出典: 共同通信PRワイヤー 電通「学生アスリート 就活まるわかり調査」)。
| 順位 |
悩み |
割合 |
| 1位 |
何から始めればよいのか分からない(就活全体の流れやステップが分からない) |
33.9% |
| 2位 |
自分のやりたい仕事・キャリアイメージが分からない |
33.3% |
| 3位 |
自分に向いている仕事・職業が分からない |
32.3% |
同じ発表では、10〜3月のインターンシップへの参加率は、学生アスリート63.8%、就活生全般85.1%でした(差は21.3ポイント、編集部算出)。一方、夏のインターンシップは学生アスリート86.8%、就活生全般88.2%でほぼ同じ水準でした。
この数字から言えるのは、「何から始めればよいか分からない」という悩みが、調査対象の約3人に1人(33.9%)に挙がっていたという点までです。「だから情報収集が遅れる」とまでは、調査は述べていません。ただ、どこから手をつけるかの地図があれば、迷う時間は減らせる可能性があります。次の章から、その地図を作ります。
集める情報を4層に分ける
集める情報は、日程・業界・企業と選考・自分の材料の4層に分けると、順番を決めやすくなります。 この4層と目安の時間は、編集部が整理のために作ったものであり、公式の区分ではありません。
| 層 |
集める情報 |
具体例 |
目安の時間 |
| ① 日程 |
締切・説明会・選考の時期 |
気になる企業の採用ページの日程、大学のキャリアセンターの案内 |
1回15分 |
| ② 業界 |
業界の全体像・職種の種類 |
業界の解説記事を1本、職種一覧を1枚 |
1回20分 |
| ③ 企業と選考 |
企業ごとの選考の流れ・社員の声 |
採用ページ、説明会の録画、OB・OG訪問 |
1社30分 |
| ④ 自分の材料 |
経験の整理・価値観のメモ |
ガクチカの下書き、部活の予定表 |
1回15分 |
順番を①から始める理由は、締切を過ぎると応募できない場合があり、他の層の優先順位を決める材料にもなるためです。たとえば、締切が近い企業が分かれば、③の情報を先に集める企業が絞れます。締切が見えないまま②の業界研究を広げると、「調べたのに間に合わなかった」という状況になりやすい場合があります。
① 日程|まず「今月の締切」だけを書き出す
最初に集めるのは、今月と来月に締切や説明会がある企業の日程です。全企業を調べる必要はありません。気になる企業を3〜5社挙げ、それぞれの採用ページで日程を確認し、カレンダーに入れるところから始められます。
日程は年によって変わる場合があるため、先輩から聞いた時期を鵜呑みにせず、企業の最新の公式情報で確かめてください。体育会の就活時期の目安は、ツナカレメディアの体育会の就活時期の解説も参考になります。
② 業界|全部を見ず、「聞いたことのある業界」から1つ
業界の情報は、広く浅く集めるより、まず1つの業界を決めて、その業界の中にどんな職種があるかを知るほうが進めやすい場合があります。「やりたい仕事が分からない」状態でも、業界を1つ読むと、「ここは違う」「ここは気になる」という反応が出てきます。その反応が、次に調べる業界を選ぶ材料になります。
③ 企業と選考|1社につき30分を上限にする
企業の情報収集は、時間をかけようと思えばいくらでもかけられる層です。「1社30分」と時間で区切り、その時間で分かった範囲を記録して次に進む方法があります。見るものは、採用ページ、選考の流れ、募集職種、説明会の日程の4点に絞る方法があります。
④ 自分の材料|締切はないが、ESや面接で使う層
④は、他人の情報ではなく自分の経験の整理です。ここには締切がありませんが、①〜③で集めた情報を使う場面(ESや面接)で必要になります。部活の予定表を書き出し、各シーズンで何をしたかをメモに残しておくと、後でガクチカの材料にしやすくなります。
部外の情報の入口を1つ足す
部内の情報は具体的で役立ちますが、見ている範囲が同じになる場合があるため、部外の入口を1つ足すと偏りを確かめやすくなります。
先ほどの電通の調査では、「企業の認知」「企業理解」「エントリー」「入社決定」の各ステップで、最も影響を及ぼした存在はいずれも「部活動の先輩・同期」で、次いで「部活動の卒業生(OB/OG)」でした。調査の担当者は、多くの学生アスリートが身近な場所だけで情報収集を完結させる「半径5m就活」を行っている可能性が高いと分析しています。一方、就活生全般は、企業の説明会での情報や親・親族の意見なども取り入れており、情報収集の方法が異なるとされています(出典: 前掲の電通調査)。
部内の情報が悪いという意味ではありません。部の先輩や同期の話は、競技日程を踏まえた具体的な情報になる場合があります。ここで言いたいのは、情報源が1つだけだと、その範囲の外が見えにくくなるという点です。
実際に、情報収集が不十分なまま進路を決めた例
ツナカレメディアのOBOGインタビューに、情報収集の振り返りが語られている例があります。ある大学のアメリカンフットボール部の卒業生は、学生時代の就職活動について、次のように話しています。
学生時代の就職活動では情報収集が不十分で、視野が狭いまま意思決定をしてしまったという反省がありました。
同じ記事では、大学の近くに住み、家・大学・スーパーを往復するアメフト中心の生活だったため、外部の情報にほとんど触れられないまま1社目の進路を決めたと振り返っています。その経験を踏まえ、のちのキャリアチェンジではエージェントに積極的に相談し、「自分だけで何とかなると考えず、就職エージェントなど、その領域に詳しい人の知見を積極的に活用してください」と話しています(取材記事・2026年5月掲載、出典: ツナカレメディア OBOGインタビュー)。
この例から読み取れるのは、競技中心の生活で外部の情報に触れる機会が少なかった結果、情報収集が不十分なまま進路を決めたと本人が振り返っている、という点までです。同じ状況の人が全員同じ結果になるわけではありません。ただ、部外の入口を意識して持っておくことの意味を考える材料にはなります。
部外の入口の選び方
入口は、時間と目的に合わせて選びます。下の表は、編集部が整理した目安です。
| 入口 |
向いている目的 |
時間の目安 |
注意点 |
| 大学のキャリアセンター |
①日程、学内向け求人の確認 |
1回20〜30分 |
開室時間が練習と重なる場合があるため、事前に確認する |
| 企業の採用ページ・説明会の録画 |
③企業と選考 |
1社30分 |
日程や条件は最新の公式情報で確かめる |
| 業界解説の記事・書籍 |
②業界 |
1本20分 |
古い記事は時期が変わっている場合がある |
| OB・OG訪問(オンライン含む) |
③企業と選考 |
1回30〜60分 |
競技の予定に合わせて時間を調整する。詳しくはOB訪問に行かないと不利?を参照 |
| 就活エージェントなど外部サービス |
①〜③の整理 |
1回30分前後 |
サービスごとに紹介の仕組みが異なるため、内容と費用を確認する |
相談先の全体像は体育会の就活は誰に相談する?で整理しています。
集めすぎを防ぐ3つの線引き
情報収集には、集めすぎて行動が止まる場合もあるため、あらかじめ線引きを決めておくと、時間が限られていても進めやすくなります。
- 1回の時間を決める: 1回15〜30分で切り上げます。時間内に終わらなかった分は、次回に回します。
- 集めたら1行だけ記録する: 「A社は11月が締切」「B業界は営業職が多い」のように、1行のメモを残します。記録があれば、同じ情報を調べ直す手間を減らせます。
- 次の行動を1つ決めてから閉じる: 調べて終わりにせず、「説明会に申し込む」「先輩に1つ質問する」のように、次の一手を決めてから閉じます。
情報収集そのものが目的になってしまうと、行動が止まる場合があります。就活の情報収集は、選考に進むか、見送るかを決めるための材料集めと捉えると、集める範囲を絞りやすくなります。
競技の予定別に、集め方を変える
競技の予定によって、使える時間の形が変わります。自分の予定に合う型を選ぶと、無理が出にくい場合があります。 次の3つの型は、編集部が整理のために作った分け方です。
| 状況 |
集め方の例 |
| 大会・リーグ戦の直前(週に使える時間が少ない) |
締切だけをカレンダーに入れる。週に1つ、業界の記事を1本読む |
| 大会が一段落した時期(まとまった時間が取れる) |
③の企業の採用ページを3〜5社まとめて確認し、説明会の予約を入れる |
| 引退後(時間は取りやすいが、締切が近い企業がある場合) |
①の日程を最初に確認し、直近の締切から③を進める |
部活を続けながら就活を進めた例として、ある大学のアイスホッケー部の卒業生は、ツナカレメディアの取材記事(2026年1月掲載)で、部活動を最後まで続けながら就職活動を行い、エントリーした企業は約6社だったと語っています。志望業界はデベロッパーに絞っており、背景には地元への強い思いがあったそうです(出典: ツナカレメディア OBOGインタビュー)。
この例から言えるのは、応募先を絞って就活を進めた卒業生がいるという点までです。同じ進め方が誰にとっても合うとは限りません。ただ、時間が限られる中では、集める範囲を絞るという選び方もある、という一つの材料にはなります。
1日15〜30分でできる、7日間の進め方
ここまでの内容を、1日15〜30分の7日間に並べ直しました。順番や内容は自分の予定に合わせて入れ替えて構いません。 このプランは編集部が作った例で、特定の人物のものではありません。
| 日 |
やること |
層 |
時間 |
| 1日目 |
気になる企業を3〜5社書き出し、今月・来月の締切を調べてカレンダーに入れる |
① |
20分 |
| 2日目 |
部活の主要日程(大会・合宿)を書き出し、動ける曜日と時間を確認する |
④ |
15分 |
| 3日目 |
聞いたことのある業界を1つ選び、解説記事を1本読む。気になった点を1行メモする |
② |
20分 |
| 4日目 |
1日目の企業のうち1社の採用ページを見る。選考の流れと募集職種を記録する |
③ |
30分 |
| 5日目 |
部外の入口を1つ選ぶ(キャリアセンターの案内ページを開く、先輩に1つ質問を送る など) |
①③ |
15〜20分 |
| 6日目 |
ガクチカの材料を5行ほどメモする。完璧に書く必要はありません |
④ |
15分 |
| 7日目 |
1週間のメモを見直し、空欄が多かった層を確認して、次の週の優先順位を決める |
全体 |
20分 |
7日間が終わった時点で、「日程が見えている」「気になる業界が1つある」「部外の入口を1つ使った」という3点がそろっていれば、最初の一歩としては十分と考えられます。すべてが終わらなくても構いません。大会前などで動けない週は、1日目の締切の記録だけ続ける進め方もあります。
情報が集まったあとの注意点
情報を集めたあとは、その情報が古くなっていないか、自分の状況に当てはまるかを確認します。 特に次の2点には注意が必要です。
- 日程や条件は年ごとに変わる場合がある: 先輩の話や過去の記事の日程は、そのまま今年に当てはまるとは限りません。最新の公式情報で確かめてください。
- 口コミや体験談は、個別の事例である: 誰かが「この時期に動いたからうまくいった」と話していても、あなたの競技日程や志望業界に当てはまるとは限りません。参考にしつつ、自分の予定と照らし合わせて判断します。
なお、ここまで読んで気持ちの面でも負担が大きいと感じる場合は、大学のキャリアセンターや学内の相談窓口など、身近な専門の窓口に相談する選択肢もあります。この記事は、気持ちの面を診断したり治療を助言したりするものではありません。
まとめ: 集める順番を決めれば、小さく動き出せる
情報収集が遅れていると感じるときは、手当たり次第に集めるのではなく、日程→業界→企業と選考→自分の材料の順に、小さく集めていく方法があります。
- 「何から始めればよいか分からない」という悩みは、電通の調査で33.9%に挙がっていた(約3人に1人)
- 集める情報は、日程・業界・企業と選考・自分の材料の4層に分ける
- 部内の情報に加えて、部外の入口を1つ足すと偏りを確かめやすくなる
- 1回15〜30分、集めたら1行記録し、次の行動を1つ決めて閉じる
- 時間が取れない週は、締切をカレンダーに入れることだけ続ける
まずは、今日の20分で「気になる企業を3社書き出して、締切を1つ調べる」ことから始めてみてください。
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