新しく立ち上がった団体で上の代がいない。単年度制で、就活の話を聞けそうな先輩はもう団体を抜けている。そんな状況で、就活について誰に聞けばよいのか分からなくなる場面があります。ワンキャリアが2022年4月にユーザー向けに実施したアンケートでは、「今、就職活動について相談できる人がいない」という回答が3割を超えたと報じられています(ASCII.jp 2023年11月15日の記事)。同社のユーザーが対象で、全大学生の割合ではありません。
この記事の結論は、「先輩」に頼みたかったことを3つの役割に分け、欠けている役割だけを別の相手で埋める、というものです。就活の相談先全般の使い分けと聞き方の型は体育会の就活は誰に相談する?で扱っています。この記事は相談先の一覧ではなく、学生団体で先輩がいない場合に絞ります。
学生団体で「先輩がいない」状態は4つの型に分けられる
先輩がいない理由によって欠けるものが違うため、まず自分の団体がどの型かを確かめます。
| 型 |
状況の例 |
欠けやすいもの |
| A 新設型 |
団体ができたばかりで上の代がいない |
同じ団体での就活の実例、卒業生とのつながり |
| B 入れ替わり型 |
単年度制や任期の短さで、先輩が早く団体を離れる |
卒業後の連絡手段、就活の記録 |
| C 接点なし型 |
先輩や卒業生はいるが、就活の話をする場や連絡先がない |
話を聞くきっかけ |
| D 方向違い型 |
先輩はいるが、志望業界や就活の時期が違う |
志望業界の働く側の話 |
Aの例として、学生団体カラクリは卒業研究をきっかけに発足し、2カ月で運営メンバーが約35人に拡大したと紹介されています。メンバーの目的は、何かをやり切りたい4年生から、就職活動を見据えて経験を積みたい下級生までさまざまです(ツナカレメディア 2026年8月13日公開の取材記事)。
Bの例として、学生団体GEILは単年度制を採り、毎年構成員が入れ替わると紹介されています(ツナカレメディア 2025年12月15日公開の取材記事)。
対比になる例が東京大学旅行研究会です。サークルですが、毎年1回以上OB・OG会が開かれ、就職活動の相談に乗ってもらったり、「この業界はどう?」といった具体的な話を聞けたりする機会があると紹介されています(ツナカレメディア 2026年2月2日公開の取材記事)。Cの団体にとっては、こうした場がないこと自体が欠けている部分です。なお、複数の型に当てはまることもあります。
先輩に頼みたかったことを3つの役割に分ける
先輩への相談は「同じ立場の実例」「働く側の話」「書類や話し方の点検」の3つに分けられ、役割ごとに代わりの相手を探せます。
| 役割 |
先輩に聞きたかったことの例 |
代わりになりうる相手 |
確かめたいこと |
| ① 同じ立場の実例 |
いつ何をしたか、活動と就活をどう並べたか |
他大学・他団体で似た活動をする上級生、大学内の別団体の4年生、大学の先輩相談会 |
相手の了承、大学に先輩相談会があるか |
| ② 働く側の話 |
業界や仕事の実際 |
志望業界のOB・OG(大学の名簿、ゼミ、知人の紹介)、OB訪問のマッチングサービス |
利用規約、相手の確認方法、会う場所 |
| ③ 書類や話し方の点検 |
文章や説明が伝わるか |
大学のキャリアセンター、団体を知らない友人・家族 |
予約の要否、初見で伝わるか |
大学によっては、内定者などの先輩が後輩の就活相談に乗る相談会や制度を設けていることがあります。所属大学のキャリアセンターで確認してください。
1人の先輩がまとめて担っていた役割を、複数の相手に分けて頼むイメージです。
型別に、最初に当たる相手を決める
型ごとに、まず埋めたい役割と最初の一手を1つ決めると、動き出しやすくなります。
A 新設型
埋めたいのは①です。合同イベントや連携先、インカレの場で知り合った、同じ種類の活動をする他団体・他大学の上級生に聞きます。活動の繁忙期や任期の区切りが近い団体の上級生なら、「活動と就活をどう並べたか」が自分の状況に当てはめやすい場合があります。
団体内では、同期同士で調べたことを持ち寄る方法があります。たとえば共有のメモを1つ作り、説明会の日程、インターンの締切、キャリアセンターで聞いたことを各自が書き足していくと、先輩から聞くはずだった情報の一部を同期で補えます。新設の団体では、この共有メモ自体が、次の代に残せる最初の記録になります。
B 入れ替わり型
すでに抜けた前の代に、卒業前に連絡してよいかを確認します。団体を離れた先輩でも、同じ大学に在籍しているうちは連絡が取りやすい場合があります。卒業後は連絡先が変わることもあるため、聞けるうちに「就活の時期になったら、少し話を聞かせてもらえますか」と一言お願いしておくと、後から頼みやすくなります。
あわせて、引き継ぎの際に「就活の記録」を一項目入れてもらえないか頼みます。記録については、後半の節で扱います。
C 接点なし型
先輩や卒業生はいるのに話す場がない場合は、まず「連絡先がどこかに残っていないか」を確かめます。団体の過去の名簿や連絡用のグループ、団体の顧問や大学の担当部署が卒業生とのつながりを持っていないかを、現役の幹部に聞いてみる方法があります。
団体の外では、キャリアセンターで卒業生の名簿や紹介の仕組みがあるかを確認します。ゼミや研究室の先輩に聞く方法もあります。OB・OG訪問の依頼文は、OB・OG訪問の依頼メールの例文と質問リストが参考になります。体育会向けの記事ですが、依頼文の型は共通です。
D 方向違い型
先輩には①(活動との並行の仕方)だけを聞き、②は志望業界の社会人に別途聞く、というように役割を分けます。志望業界が違うからといって、先輩に聞けることがなくなるわけではありません。同じ団体の繁忙期をどう乗り切りながら就活を進めたかは、業界が違っても参考にしやすい情報です。
4つの型を要約すると、次のとおりです。
| 型 |
まず埋める役割 |
最初の一手 |
| A 新設型 |
① |
他団体・他大学の同種団体の上級生に聞く |
| B 入れ替わり型 |
①と記録 |
前の代に連絡してよいか確認する |
| C 接点なし型 |
①② |
団体内とキャリアセンターで、卒業生の連絡先や紹介の仕組みを確認する |
| D 方向違い型 |
② |
志望業界の社会人に別途聞く |
活動で関わる社会人に相談するときの線引き
協賛先や連携先など、活動で関わる社会人は団体の活動を知っている点で話しやすい相手ですが、団体としての関係と自分の就活の相談は分けて扱うほうが、行き違いを避けやすくなります。
学生団体では、活動の内容によって学外の社会人と接する機会があります。学生団体廃校文化祭実行委員会CSFは、行政と連携し、大学のサークルや地元のグループを10団体以上招待するイベントを運営し、協賛企業への営業や地元の方々との交流など、コミュニケーション能力・提案力・企画力が求められる場面が多いと紹介されています(ツナカレメディア 2025年10月24日公開の取材記事)。
こうした相手に就活の相談をするときの線引きの例です。以下は編集部の整理です。
| 場面 |
避けたいこと |
代わりにすること |
| 交渉や依頼の途中 |
自分の就活の話を混ぜる |
やり取りが一段落してから、別の機会に頼む |
| 団体の窓口との関係 |
団体の代表や担当に黙って個人的に連絡する |
関係を持つ担当者に一言共有する |
| 会う場所と連絡手段 |
夜の食事や飲酒の場、個室、個人の携帯での個別のやり取り |
日中、オンライン、複数人、大学や会社の場所などにする |
愛媛労働局の就活ハラスメントのページは、OB・OG訪問を含め、就職活動でハラスメントではないかと思ったら相談するよう呼びかけています。採用担当者との食事や飲酒、密室での面談、個人携帯メールなどでのやりとりは避けるよう注意も挙げています(愛媛労働局)。厚生労働省のハラスメント悩み相談室は、メールやSNSでの相談を受け付けています。違和感があれば、一人で抱えず、大学のキャリアセンターや公的窓口に相談できます。
相談の前に、団体の前提を1枚にまとめておく
先輩以外の相手は団体のことを知らないため、団体の前提を短くまとめておくと、短い時間でも本題に入りやすくなります。
| 項目 |
書く内容 |
書き方の例(架空) |
| 団体の目的 |
何のための団体か |
国際協力の啓発イベントを開く |
| 規模と体制 |
人数、部署 |
約30人、3部署 |
| 期間と任期 |
活動期間、自分の任期 |
設立2年目、任期は1年 |
| 自分の役割 |
担当、立場 |
広報の責任者 |
| 聞きたいこと |
3つの役割のどれか |
①活動と就活の並べ方 |
| 調べたこと |
すでに確認した内容 |
大学のキャリアセンターの案内 |
この表をもとにした相談メッセージの例です(架空の例)。
「〇〇大学で国際協力の学生団体に所属している3年生です。設立2年目で、約30人の団体で広報を担当しています。活動の繁忙期と就活の時期が重なりそうで、同じように活動していた方が、いつ頃何を始めたかを教えていただけないでしょうか。お忙しければ、ご返信は不要です。」
学生団体の経験が選考でどう見られるかは学生団体は就活で有利にならない?で、書き方はツナカレメディアの学生団体のガクチカの書き方で扱っています。
自分が後輩の「先輩」になる記録を残す
自分の就活の記録を団体に残しておくと、次の代にとっての相談先の一つになり、自分の経験を振り返る材料にもなります。
学生団体GEILは、その年の執行代が過去の知見を踏まえつつ、運営方針を毎年ゼロから設計し直す文化だと紹介されています(ツナカレメディア 2025年12月15日公開の取材記事)。知見を受け渡す方法の一つとして、就活の記録を位置づけられます。
| 項目 |
例 |
| 動き始めた時期 |
何年生の何月に情報収集を始めたか |
| 繁忙期と就活の重なり |
団体の大きなイベントと就活の時期の関係 |
| 受けた業界 |
志望した業界、広げた業界 |
| 団体の経験の説明 |
団体の経験をどう説明したか |
| 聞かれた質問 |
面接などで聞かれたこと |
| 相談してよい連絡先 |
本人の同意がある範囲 |
残し方は、引き継ぎ資料の一項目にする、団体の共有フォルダに1ページ用意するなど、毎年の代替わりで見落とされにくい場所を選びます。就活を終えた直後は細部を覚えているため、その時期に書いておくと内容が具体的になりやすくなります。書いた項目は、自分の経験を面接で説明するときの振り返りにも使えます。
注意点が3つあります。企業から口外しないよう求められた選考内容は書かないこと、他人の個人情報は書かないこと、連絡先は本人が了承した範囲に限ることです。
まとめ|先輩の役割を分けて、欠けている部分だけ埋める
- 先輩がいない状態は、新設型・入れ替わり型・接点なし型・方向違い型に分けられます。
- 先輩への相談は3つの役割に分け、欠けている役割だけ別の相手に頼みます。
- 活動で関わる社会人には、団体の関係と就活の相談を分けて相談します。
- 自分の就活の記録を残すと、次の代の相談先の一つになります。
団体での経験をガクチカの枠に整理しておきたい場合は、体育会・学生団体のガクチカ 書き方テンプレ&例文集を無料で配布しています。状況を整理したうえで相談してみたい場合は、ツナカレ就活への登録から申し込めます。ご相談にはメールで回答します。