「周りの人は何社くらいエントリーしているのだろう」「練習や試合で時間が限られる自分は、少なすぎないだろうか」。就活を始めると、こうした不安が出てくるかもしれません。2027年卒を対象にした調査では、マイナビが6月末までの累計エントリー社数の平均を26.0社、学情がプレエントリー社数の概算平均を21.6社と公表しています。ただし数字は調査ごとに違い、年によっても動きます。そのため、平均は自分の社数を決める基準というより、エントリーから面接、内々定へと段階ごとにどれくらい数が減っていくかを知る材料として使うのが現実的です。この記事では2つの調査の数字を出典付きで整理し、調査で数字が違う理由、年ごとの推移、段階別の数字、部活と両立する学生が自分の社数を考える手順までを扱います。
この記事で使う数字と使わない数字
この記事では、2027年卒を対象にした2つの公開調査(マイナビ・学情)の公表値だけを使います。線引きは次の4点です。
- マイナビ「2027年卒 大学生キャリア意向調査6月<就職活動・進路決定>」と、学情「27卒学生振り返り調査」(2026年8月25日発表)の公表値を中心に使います。2026年卒との比較には、マイナビの2026年卒版とキャリアリサーチLabのコラムを使います。
- 編集部独自のアンケートはしていません。
- 体育会学生に限定したエントリー社数の統計は、制作時点では確認できませんでした。
- 「何社がよい」という推奨社数は、根拠となる統計がないため示しません。
2つの調査の概要は次のとおりです。
| 項目 |
マイナビ |
学情 |
| 調査名 |
2027年卒 大学生キャリア意向調査6月 |
27卒学生振り返り調査 |
| 発表 |
2026年7月公表 |
2026年8月25日発表 |
| 調査期間 |
2026年6月25日〜30日 |
2026年6月8日〜21日 |
| 対象 |
2027年3月卒業予定の全国の大学生・大学院生(マイナビ2027会員) |
Re就活キャンパス2027年卒会員 |
| 有効回答数 |
1,439名 |
259件 |
| 集計の特徴 |
文理男女の構成比を学校基本調査に合わせるウエイトバック集計 |
選択肢の回答から算出した概算平均 |
出典は、マイナビの調査資料(PDF)、学情のプレスリリース(PDF)、学情の元資料「就職戦線中間総括」です。マイナビの資料には無断転載を禁じる旨の表記があるため、この記事では図表を写さず、数値の抜粋を出典付きで示しています。
結論|2027年卒のエントリー数の平均は21.6〜26.0社
2027年卒のエントリー数の平均は、マイナビの調査で26.0社、学情の調査で21.6社と、調査によって約4社の差があります。
| 調査 |
数えているもの |
2027年卒の平均 |
前年(2026年卒) |
| マイナビ |
2月まで〜6月末の累計エントリー社数 |
26.0社 |
28.5社(2.5社減) |
| 学情 |
プレエントリー社数(説明会や選考情報を得るための登録) |
21.6社 |
24.6社(3.0社減) |
両調査とも、前年より平均が減っています。学情の調査では、プレエントリーの社数を階級で尋ねており、「1〜10社」が32.0%で最も多い一方、「51社以上」も8.5%います。
平均は、多くエントリーする一部の人に引っぱられる可能性があります。そのため、平均の数字が「真ん中にいる人」の社数とは限りません。この記事で平均を「基準」ではなく「材料」と呼ぶのは、このためです。
調査によって数字が違う4つの理由
調査によって数字が違うのは、何を、いつ、誰に、どう数えたかが調査ごとに異なるためです。
| 理由 |
確認ポイント |
| 数えているものの定義 |
エントリーの累計か、プレエントリーか |
| 調査時点 |
調査期間と、どの時期までの累計か |
| 回答者の集団 |
どのサービスの会員か、回答数はいくつか、集計の補正があるか |
| 平均の出し方 |
実数の平均か、選択肢からの概算か |
①数えている「エントリー」の定義
マイナビは、2月まで〜6月末のエントリー社数の累計を尋ねています。学情が尋ねているのはプレエントリーの社数です。プレエントリーは説明会や選考情報を得るための登録を指し、ES提出などの正式な応募とは別の段階として扱われています。同じ「エントリー」という言葉でも、含まれる行動が違う場合があります。
②調査時点
どちらの調査も6月に実施されていますが、期間は異なります(マイナビは6月25日〜30日、学情は6月8日〜21日)。累計の数字は、時期が後になるほど増える性質があります。調査時期の数週間の差が、そのまま平均の差になるとは言えませんが、時点が違えば比べ方も変わります。他の記事の数字を見るときも、「何月時点の数字か」「何年卒の数字か」をまず確認すると、比べてよい数字かどうかを判断しやすくなります。
③回答者の集団
マイナビの回答は1,439名、学情は259件で、どちらもそれぞれのサービスの会員が対象です。マイナビは、文理・男女の構成比を学校基本調査に合わせるウエイトバック集計をしています。回答者の人数や集計の補正が違えば、平均も変わる場合があります。
④平均の出し方
学情の平均は、「1〜10社」のような選択肢の回答から算出した概算平均です。実際の社数を1人ずつ集めて平均したものとは、性質が異なります。
他の記事で見かける「平均50社」「平均14.8社」などの数字も、この4点を確認すると、どの調査と比べられるのかが分かります。
平均は年によって動く|22年卒から27年卒の推移
マイナビの6月末までの累計は、22年卒から27年卒の間で21.6〜28.5社の範囲で動いており、1つの年の平均を固定の目安にするのは難しいと言えます。
| 卒年 |
マイナビ 6月末までの累計 |
学情 プレエントリー概算平均 |
| 22年卒 |
28.0社 |
22.9社 |
| 23年卒 |
25.6社 |
21.6社 |
| 24年卒 |
22.8社 |
21.2社 |
| 25年卒 |
21.6社 |
19.4社 |
| 26年卒 |
28.5社 |
24.6社 |
| 27年卒 |
26.0社 |
21.6社 |
マイナビの値は調査資料の図13に掲載された年度別の累計です。学情の値は、同社のプレスリリース(2026年8月25日)に、同じ手法で調査した2022年卒からの推移として掲載されているものです。
どちらの調査も、2025年卒まで減少し、2026年卒で増加し、2027年卒でやや減少するという同じ動きをしています。ただし、なぜそうなったのかは、調査の数字からは分かりません。確かなのは、去年の平均が今年もそのまま当てはまるとは限らないという点です。
エントリーから内々定までの段階別の数字
学情の調査による2027年卒の平均像は、プレエントリー約22社、企業セミナー参加17社、ES提出11社、面接受験8社と、段階が進むごとに数が減っていきます。
| 段階 |
2027年卒 |
2026年卒 |
| プレエントリー |
21.6社 |
24.6社 |
| 企業セミナー参加 |
17.0社 |
― |
| ES提出 |
10.8社 |
9.6社 |
| 面接受験 |
7.8社 |
8.4社 |
出典は学情のプレスリリースです。企業セミナー参加の前年の数値は、本記事では確認できた値がないため「―」としています。
この表から編集部が計算すると、ES提出はプレエントリーのおよそ半分(10.8÷21.6=50.0%)、面接受験はES提出の約7割(7.8÷10.8≒72%)です。ただしこれは同じ回答者の平均どうしを割ったものであり、1人ひとりの通過率ではありません。
内々定については、マイナビの2027年卒の調査に次の数字があります。
- 6月末の内々定保有率は81.2%(文系77.8%、理系86.5%)
- 内々定を持つ人の平均保有社数は1.8社(文系1.9社、理系1.6社)
2026年卒の調査では、3月上旬に「得られると思う内々定社数」が平均2.6社だったのに対し、6月末に実際に保有していたのは平均1.8社でした(マイナビ2026年卒版)。さらに、2026年卒の内定者意識調査では、保有している内々定が「1社」の人が62.2%、平均1.73社でした(キャリアリサーチLabのコラム)。
なお、学情とマイナビは別の調査です。両者の段階をつなげて1本の数式のように扱うことはできません。
部活と両立する学生が平均を使うときの考え方
部活と両立する場合は、平均に合わせるのではなく、使える時間と段階ごとの減り方から逆算する材料として平均を使う方法があります。
東北大学アイスホッケー部のOBは、部活動を最後まで続けながら就職活動を行ったため、エントリーした企業は約6社に絞られていたと話しています(取材記事、2026年1月22日公開)。一方、成蹊大学体育会サッカー部のOBは、いろいろな会社を見るためにOB訪問に時間をかけたと話しています(取材記事、2026年4月1日公開)。社数の多い少ないよりも、何に時間を使ったかが人によって違う例で、どちらが正しいというものではありません。
部活と就活を両立するときの時間の配分は、部活と就活の両立でも整理しています。動き出す時期については体育会学生の就活はいつからと、ツナカレメディアの体育会の就活時期が参考になります。
自分の社数を考える3ステップ
| ステップ |
やること |
使う数字 |
| ① |
練習・試合の予定から、ES作成や面接に使える週あたりの時間を出す |
自分の予定表 |
| ② |
最終的に面接まで進めたい社数を決め、段階別の比率を使って逆にたどる |
ES提出÷プレエントリー=約5割、面接受験÷ES提出=約7割(学情の2027年卒の平均から編集部算出) |
| ③ |
持ち駒が減ったときの追加の動き方を決めておく |
今後の受験予定の平均4.3社(未内々定者は5.5社) |
①の時間は、ESの設問数や面接の回数によって企業ごとに変わります。最初の2〜3社で、ES1社分や面接準備1回分に実際にかかった時間をメモしておくと、シーズン中にあと何社まで進められるかを見積もりやすくなります。リーグ戦や大会の前後で使える時間が変わる場合は、週ごとに分けて書き出しておくと、エントリーを増やす時期と絞る時期を決めやすくなります。
②の例として、面接を5社受けたい場合を考えます。ES提出の約7割が面接に進むとして、ES提出は5÷0.72で7社前後、ES提出がプレエントリーの約半分なら、プレエントリーは14社前後という計算になります。これは平均どうしの比率を使った試算で、結果を保証するものではありません。
③の数字は、マイナビの2027年卒の調査で、6月時点で就活を続けている人が今後受ける予定の社数が平均4.3社、そのうち内々定をまだ持っていない人は5.5社というものです。持ち駒の数や選考の進み具合を月ごとに管理する方法は、4月のやることチェックリストにまとめています。また、企業を探す段階で迷ったときは、ツナカレメディアの企業の探し方も参考になります。
エントリー数のデータでよくある3つの誤解
エントリー数のデータは、「誰の、いつの、何の数字か」を確認しないまま読むと、誤解につながりやすい傾向があります。
「平均より少ないと不利」
2つの調査は、エントリー社数と就活の結果との関係を示していません。平均より少ないことが不利にあたるかどうかは、これらの調査からは判断できません。
「どの記事の平均も同じものを数えている」
エントリー、プレエントリー、ES提出など、数えている段階や調査時点は記事によって異なります。数字だけを並べて比べると、違うものどうしを比べてしまう場合があります。
「去年の平均が今年も当てはまる」
マイナビの6月末の累計は、22年卒から27年卒の間に21.6〜28.5社の範囲で動いています。年が変われば平均も変わるため、古い年の数字は参考程度にとどめるのが安全です。
まとめ
2027年卒のエントリー数の平均は、マイナビの調査で26.0社、学情の調査で21.6社です。数字が違うのは、数えている段階、調査時点、回答者、平均の出し方が違うためです。平均は年によっても動くため、自分の社数を決める基準にするのではなく、プレエントリーからES、面接へと数が減っていく目安をつかむ材料として使うのが現実的です。部活と両立する場合は、使える時間を出したうえで、面接まで進めたい社数から逆算して考えてみてください。
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