10月になり、同じ部の同期が内定の報告をしているなか、自分にはまだ内定がない。練習が終わったあとにスマートフォンを開くたびに、焦りが強くなる。そんな状態で、この記事にたどり着いた方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、内定がなくて焦るときは、「全体の数字」と「自分の記録」の2つで現在地を確かめ、そのうえで動かす点と動かさない点を分ける方法があります。 焦りの気持ちを消すための記事ではなく、焦っている状態で何を判断するかに絞った記事です。
近い悩みを扱った記事が、すでにいくつかあります。同じ部のチームメイトとの差を整理したい場合は体育会でチームメイトと就活に差がついて焦る、不合格が続いて直す点を決めたい場合は就活で不合格が続く体育会学生へ、引退後に秋冬採用を探す手順は部活引退後からの就活は間に合う?秋冬スタートで巻き返す進め方で扱っています。この記事は、それらに進む前の現在地の確認を担当します。
現在地は「全体の数字」と「自分の記録」の2つで見る
現在地を確かめるときは、全体の数字と自分の記録を、別のものとして見ます。 全体の数字は「いまの状況の目安」であり、自分の記録は「次に何をするかを決める材料」です。混ぜて判断すると、焦りが強くなる場合があります。
| 見るもの |
分かること |
分からないこと |
| 全体の数字(調査) |
就活全体の進み具合の目安 |
自分の就活の良し悪し、体育会の学生の状況 |
| 自分の記録(応募状況) |
持ち駒の数、次の締切、結果の傾向 |
他の人と比べた位置 |
この記事では、まず全体の数字を確認し、そのあとで自分の記録をつけるシートを紹介します。
数字で見る|2027年卒の内定率は、9月末時点で86.3%
マイナビの調査では、2027年卒の9月末時点の内定率は86.3%で、その残り(100%から引いた13.7%)が、内定のない学生にあたります。 3月1日から9月末までの推移は次のとおりです。
| 調査時期 |
内定率(内々定を含む) |
| 3月1日 |
46.0% |
| 3月末 |
58.7% |
| 4月末 |
70.9% |
| 5月末 |
76.4% |
| 6月末 |
81.2% |
| 7月末 |
83.7% |
| 8月末 |
85.6% |
| 9月末 |
86.3% |
(出典: マイナビキャリアリサーチLab「【10月更新】2027年卒就職内定率(内々定率)の状況」。調査は同サイトの「大学生キャリア意向調査<就職活動・進路決定>」に基づく。2026年10月に本記事の編集部が確認)
同サイトには、10月1日より前の調査では「内々定率」と記載しているが、コラム内では内々定を「内定」、内々定率を「内定率」で統一していること、また各月ごとの回答者が異なるため、前月から数値が減少する場合があることが書かれています。
この表から言えるのは、2027年卒の大学生・大学院生全体では、9月末時点で内定を獲得していない学生が1割台半ばの割合で存在するところまでです。次の点に注意してください。
- 調査の対象は、体育会の学生に限りません
- 「内定がない」の中に、就職活動を終えた学生、公務員試験や大学院進学を選んだ学生、まだ活動中の学生がそれぞれ含まれるかどうかは、同コラムには内訳が書かれていません
- 各月で回答者が異なるため、折れ線のように同じ人の変化を追った数字ではありません
- 13.7%という数字だけで、自分がこれから内定を得られるかどうかを判断することはできません
また、北海道新聞デジタルの2022年12月9日の記事では、2023年3月卒業予定の大学4年生について、10月時点の就職内定率が74.1%(前年比2.9ポイント上昇)だったこと、それでも12月時点で内定がない学生が存在すること、オンライン化で周りの進み具合が見えにくくなっていることなどが報じられています(出典: 北海道新聞デジタル「内定ゼロ、続く4年生の就活」)。これは2022年の報道であり、年度も調査も異なります。ここから言えるのは、内定がない状態が秋以降も続く学生は、以前から存在することまでです。
数字を見て「自分だけではない」と思えることがあります。一方で、数字を見て「まだ大丈夫」あるいは「もう手遅れ」と決めることはできません。判断は、次に紹介する自分の記録でします。
焦りで起きやすい動き3つと、代わりに確認すること
焦っているときは、動きが次の3つのどれかに偏りやすい傾向があります。 以下は編集部の整理であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
| 焦りで起きやすい動き |
その場合に起きる可能性のある問題 |
代わりに確認すること |
| 応募する企業を急に増やす |
1社ごとの準備が薄くなり、締切を見落とす |
募集要項と締切の一覧を先に作る |
| 同じESを使い回す |
設問の意図と答えがずれる場合がある |
設問ごとに、聞かれていることを1行で書き出す |
| 活動を止めてしまう |
次の予定が空白になり、不安が続きやすい |
今週の予定を1つだけ入れる |
応募を急に増やすとき
応募を増やすこと自体は、悪いことではありません。 ただし、募集要項を読まずに数だけ増やすと、選考日程が重なったり、準備の時間が足りなくなったりする場合があります。増やす場合は、1社ごとに「締切」「必要な提出物」「選考の段階」の3つを書き出してから応募します。
同じESを使い回すとき
ESの使い回し自体も、それだけで問題とは言えません。 ただし、設問が違うのに同じ文章を貼ると、聞かれていることに答えられていない場合があります。設問ごとに、聞かれていることを1行で書き出してから、文章を調整する方法があります。
活動を止めてしまうとき
北海道新聞デジタルの記事では、就活の長期化で活動を中断する学生がいることにも触れられています。活動を止めること自体を責める必要はありません。 ただ、完全に止めると再開のきっかけをつかみにくくなる場合があります。止まっているときは、予定を1つだけ入れる方法があります。たとえば「今週は、応募状況の一覧を作るだけ」で十分です。
現在地シート(テンプレ)
焦っているときほど、頭のなかで状況を整理せず、紙に書き出す方法があります。 次のシートを、メモアプリや紙に作ってください。記入例は編集部が作成した架空の例です。
| 項目 |
記入例(架空) |
自分の記入欄 |
| 現在の持ち駒(選考が続いている企業の数) |
3社 |
|
| 次の締切(企業名と日付) |
A社 ES 〇月〇日 |
|
| 面接・試験の予定(今後2週間) |
B社 一次面接 〇月〇日 |
|
| 結果待ちの企業 |
C社(面接日から1週間) |
|
| 直近の不合格で、詰まった質問 |
志望動機の深掘り |
|
| 相談の予定(大学・先輩・窓口) |
キャリアセンター 〇月〇日 |
|
| 今週に変える点(1つだけ) |
ES冒頭に結論を置く |
|
最後の「今週に変える点」は、1つだけにします。 複数を同時に変えると、どれが効いたのかが分からなくなるためです。落ちた段階を切り分ける方法は、就活で不合格が続く体育会学生へにまとめています。
持ち駒が0〜1社で、次の締切もない場合は、シートが埋まらないことがあります。その場合は、空欄のままにして、相談の予定の欄だけを先に埋める方法があります。大学のキャリアセンターや公的な窓口は、持ち駒が少ない状態でも相談できる場合があります。引退後の進路の選択肢を並べたい場合は、内定なしで引退した体育会学生へで整理しています。
動かす点と動かさない点を分ける
焦っているときは、すべてを変えたくなりますが、動かす点は絞ります。 次の表で、いまの自分がどれに当てはまるかを確認してください。以下は編集部の整理です。
| 確認すること |
はい の場合 |
いいえ の場合 |
| 次の2週間に、選考の予定が1つ以上ある |
予定を優先し、新しい動きは増やさない |
応募先を探す時間を週に1回確保する |
| 結果が出た選考で、落ちた段階に傾向がある |
傾向のある段階の準備を1つ見直す |
数社分の記録がたまるまで、原因を決めない |
| 志望する業界や職種に、決め手がない |
志望を広げるか、軸を見直すかを相談する |
現在の志望のまま、応募の数と質を確認する |
| 練習や授業で、活動の時間が取れていない |
週に確保できる時間を見直す |
現在の時間配分を維持する |
この表は、動かす点を決めるためのものであり、答えを出すものではありません。 「志望を広げるか」の判断は、軸の整理が関わるため、自己分析の方法の解説(ツナカレメディア)も参考にしてください。
取材で聞いた、採用担当者と先輩の声
数ではなく中身に目を向けるヒントとして、取材で聞いた声を3つ紹介します。 いずれも個別の声であり、「こうすれば内定する」と示すものではありません。
ツナカレメディアの「人事の声」(2026年1月8日掲載)で、信和興業株式会社の人事・組織づくり担当の取締役は、面接で話した内容を次の選考までに実行してくれる学生は、それだけで「この人は伸びる」と感じると話しています(出典: ツナカレメディア 人事の声 信和興業)。
別の記事(2026年1月28日掲載)では、株式会社STAR CAREERの担当者が、うまくいかなかった経験を「失敗」で終わらせず、「このやり方ではうまくいかないと分かった」という一つの前進として捉えていると話しています(出典: ツナカレメディア 人事の声 STAR CAREER)。
また、ツナカレメディアの部活動取材(2025年11月13日掲載)では、ある大学のサッカー部の主将が、就職活動では「OBから企業情報を聞いたり、相談に乗ってもらう」ことが多いと話しています(出典: ツナカレメディア「大学・学生を知る」)。
3つの声から言えるのは、次の選考までに何を変えたかを大切にする採用担当者がいること、うまくいかなかった経験の捉え方を見る担当者がいること、部のOBへ相談している例があることまでです。これらは、特定の企業・特定の部の話であり、他の企業や他の部に当てはまるとは限りません。
現在地シートの「今週に変える点」や「直近の不合格で、詰まった質問」は、この声と関係があります。変えた点とその理由を言葉にしておくと、面接で聞かれたときに答えやすくなる場合があります。 面接全般の準備は、ツナカレメディアの面接対策の解説にまとまっています。
一人で抱え込まないための相談先
焦りが強いときは、自分だけで考え続けず、第三者の目を入れる方法があります。 相談先ごとに、頼めることを整理しました。
| 相談先 |
頼めること |
| 大学のキャリアセンター |
ESの添削、模擬面接、進路の整理 |
| 部のOB・OG、先輩 |
選考の流れ、企業の情報の共有 |
| 新卒応援ハローワークなどの公的窓口 |
就職活動の相談(在学中の方と卒業後おおむね3年以内の方が対象。東京ハローワークのページでは無料と記載) |
| 同期・友人 |
ESの読み合い、模擬面接の相手 |
東京ハローワークの「新卒者・既卒者の皆さまへ」のページでは、新卒応援ハローワークのサービスを無料で提供していることが記載されています(出典: 東京ハローワーク)。
気持ちの落ち込みが続く、眠れない日が続くなど、日常の動きに影響が出ている場合は、大学の学生相談室や保健管理センターなどに相談してください。この記事は、医療的な判断や助言を行うものではありません。
まとめ|数字は目安、判断は自分の記録で行う
内定がない状態が続くと、「自分だけが遅れている」と感じる場合があります。ただ、現在地の確認は、数字と記録の2つに分けると整理しやすくなります。
- 全体の数字は目安として見る(2027年卒の9月末の内定率は、マイナビ調査で86.3%)
- 数字では、自分の今後は判断できない。体育会の学生に絞った数字でもない
- 焦りで起きやすい動き(編集部の整理:急に増やす・使い回す・止まる)を知っておく
- 現在地シートで、持ち駒・締切・相談の予定を書き出し、今週に変える点を1つだけ決める
- 一人で抱えず、大学・OB・公的窓口を使う
ガクチカの材料を整理したい方は、体育会・学生団体のガクチカ 書き方テンプレ&例文集を無料で配布しています。状況を整理したうえで相談してみたい場合は、ツナカレ就活への登録から申し込めます。ご相談にはメールで回答します。