面接で「志望動機を一言で言うと?」と聞かれて、部活の話から始めてしまい、長くなってしまった。ESの「一言で」欄に何を書けばいいのかわからない。そんな経験をした人、あるいは不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
志望動機の一言は「この会社で何をしたいか+なぜこの会社か」を1文にしたものです。部活の経験は一言の主役ではなく、理由を支える根拠として後ろに控えさせると、話の筋が通り、深掘りにも答えやすくなる場合があります。
志望動機の全体の作り方は体育会学生の志望動機例文3選|「体力に自信」で終わらせない書き方で、ガクチカの一言はガクチカを一言で言うと?体育会の1文の作り方と例文8選で扱っています。この記事は、志望動機の結論部分を1文にすることに絞った記事です。
「志望動機を一言で」と聞かれたときに伝えたいこと
一言に入れるのは「何をしたいか」と「なぜこの会社か」の2点に絞り、部活の頑張りや自分の強みの紹介は後ろに回す形を編集部ではすすめています。
札幌新卒応援ハローワーク(北海道労働局)の「志望動機の構成と書き方のコツ」では、「まずは結論です。志望する理由から書いていきます。」「「一文に結論はひとつ」を意識しましょう。」と案内されています(出典)。一言は、この「結論」の部分にあたります。
採用する側の考え方として、ある監査法人で人事最高責任者として採用に関わる公認会計士は、「一番大切なのは、会社のミッション・ビジョンと、その人の方向性が合っているかだと思います。」「採用も同じで、スキルだけではなく、その方向性に共感できるかが重要です。」と話しています(ツナカレメディア「人事の声」、2026年3月3日掲載。取材記事)。これは1つの法人の考え方で、すべての企業に当てはまるわけではありません。ただ、一言を作るときに「会社の方向と自分の方向がどうつながるか」を意識する手がかりにはなります。
一言に入れるものと、後ろに回すものを整理すると、次のとおりです。
| 区分 |
内容 |
| 一言に入れる |
この会社でやりたいこと、その会社である理由 |
| 後ろに回す |
部活の実績、役職、自分の強みの説明 |
後ろに回したものは、一言のあとに続く説明で、理由を支える根拠として使います。
志望動機の一言の型は「やりたいこと+その会社である理由」
「その会社である理由(事業や取り組み)」と「そこでやりたいこと」を、1文にまとめた形が基本形です。
基本の型
穴埋めにすると、次の形になります。
「貴社の【事業・仕事】を通じて【誰に・何を】したいと考え、志望しました」
ESでは「貴社」、面接で話すときは「御社」と言います。この記事の例文は、ESの表記に合わせて「貴社」で統一しています。
【事業・仕事】の部分が「なぜこの会社か」を、【誰に・何を】の部分が「何をしたいか」を担います。2つの要素は役割が違います。「やりたいこと」は、自分が将来向き合いたい相手や課題、つまり自分の側の動機です。「理由」は、そのやりたいことをこの会社なら実現できると考える根拠、つまり会社の側の特徴です。片方だけだと、「人の役に立ちたい」のようなどの会社にも言える文か、「貴社の安定性に惹かれた」のように自分の動機が見えない文になる場合があります。
長さの目安
ESの一言欄は、欄に示された字数の指定に従ってください。面接で第一声として答える場合は、1文で、ひと息で言える長さが目安です(編集部の目安)。「一文に結論はひとつ」という前述の案内のとおり、1文に「やりたいこと」と「理由」を1つずつ入れる形にすると、長くなりすぎにくくなります。正解の字数や秒数が決まっているわけではないため、声に出して読み、言いにくいところで区切ってみてください。
部活の経験は一言に入れる?入れない?判断の目安
部活の経験が「なぜこの会社か」の理由そのものになっている場合は一言に入れ、強みの紹介にとどまる場合は一言から外して、続く説明の根拠に回すのが目安です。
| 状況 |
一言に入れるか |
書き方の例(編集部作成の架空例) |
| 競技や部とのつながりが、その会社を選ぶ理由になっている |
入れる |
「競技を支えてきた貴社の事業に関わり、〇〇をしたいと考えて志望しました」 |
| 部活で得た関心が、その会社の事業と直結している |
入れる |
「裏方として選手を支えた経験から、貴社の〇〇事業で人を支える仕事をしたいと考えました」 |
| 「部活で培った〇〇を活かしたい」だけで、会社である理由がない |
外す(根拠に回す) |
一言は「貴社の〇〇事業で△△したい」とし、培った力は続く説明で触れる |
| 部活とは無関係の理由で志望している |
入れない |
一言は理由だけにして、部活はガクチカや自己PRで語る |
ツナカレメディアのOB・OGインタビューから、入れる例と、部活の外に理由がある例を1つずつ見てみます。
部活とのつながりが理由に入る例
新潟大学アイスホッケー部のOBは、電力や通信といったインフラ設備に関わる企業を志望したきっかけの一つとして、ある企業のアイスホッケー部を前身とするチームとの歴史的なつながりに興味を持ったことを挙げています。もう一つのきっかけとして、インフラが「今後も社会に欠かせない領域だと考え」、安定性と社会貢献性を挙げています(OB・OGインタビュー、2026年8月28日掲載)。
部活とのつながりと、事業への考えという2つの理由が語られている例です。これを一言にするならどうなるか、編集部が作った架空の例を示します。本人がこのように話したものではありません。
「競技のつながりがある貴社で、社会に欠かせないインフラを支える仕事がしたいと考え、志望しました」
志望理由が部活の外にある例
東北大学アイスホッケー部のOBは、当時の志望業界をデベロッパーに絞っており、その背景には地元への強い思いがあったと語っています。地元が「あるデベロッパーによって50年かけてつくられた街だと知り、街づくりという仕事に惹かれていった」とのことです(OB・OGインタビュー、2026年1月22日掲載)。
体育会出身でも、志望理由が部活の外にある場合があります。その場合、部活の経験は志望理由の根拠ではなく、ガクチカや自己PRで語る素材として使う整理もできます。志望動機の一言に、無理に部活を入れる必要はありません。
他社に置き換えても通じる一言になっていないか確かめる
一言の「貴社」を同業他社の名前に置き換えても文が成り立つなら、「なぜこの会社か」がまだ入っていない可能性があります。次の手順で点検できます。
- 一言を書く
- 「貴社」の部分を、同業他社の名前に置き換えて読む
- そのまま通じてしまったら、その会社にしかない事業・取り組み・顧客・働き方のどれかを1つ入れる
直し方の例を、編集部が作成した架空の例で4組示します。実在の企業の情報は使わず、「貴社の〇〇事業」のように一般化しています。
| よくある汎用文 |
直した一言 |
何を直したか |
| 部活で培ったチームワークを活かして、貴社で成長したいからです |
貴社の〇〇事業で、複数の部署をつなぐ調整役として、顧客の課題解決に関わりたいからです |
強みの紹介を外し、事業とやりたいことを入れた |
| 人の役に立つ仕事がしたいからです |
貴社の〇〇サービスを通じて、中小の事業者の業務負担を減らす仕事がしたいからです |
「誰に」「何を」を具体にした |
| スポーツに関わる仕事がしたいからです |
学生の競技環境を整える貴社の〇〇事業で、競技を続けやすい環境づくりに関わりたいからです |
業界名ではなく、事業の中身を入れた |
| 貴社の社風に惹かれたからです |
若手にも顧客対応を任せる貴社の働き方の中で、早く提案の経験を積みたいからです |
社風という言葉を、働き方の具体に置き換えた |
直した一言の〇〇の部分には、志望先の採用ページや説明会、OB・OG訪問で確認した事実を入れてください。確認できていない内容を、それらしく書くことは避けてください。
志望動機の一言 例文6選(体育会・部活動の経験別)
以下は編集部が作成した架空の例文です。業界や自分の経験に合わせて、そのまま使わずに組み替えてください。順位ではありません。
例文1:スポーツ用品メーカー×競技経験
- 一言:「選手の使い心地を製品に反映する貴社の開発に関わり、競技者が力を出しやすい道具をつくりたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:自分は競技を続ける中で、道具が合わずに調子を崩す仲間を何人も見ました。道具の調整で動きが変わる場面を間近で見て、つくる側に関心を持ちました。
- ポイント:競技経験は、関心が生まれたきっかけとして根拠の側に置いています。
例文2:物流×主務の段取り
- 一言:「〇〇の物流をまとめて請け負う貴社で、荷物の流れを止めない段取りを担いたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:主務として遠征の移動や宿泊を手配する中で、予定が崩れても全体が止まらないよう段取りを組む面白さを知りました。貴社の〇〇の取り組みなら、その関心を仕事で広げられると考えました。
- ポイント:主務の経験は一言に入れず、関心の由来として後ろに回しています。「〇〇の物流をまとめて請け負う」のように会社の特徴を1つ入れ、置き換えテストで他社名では通じにくい形にしています。
例文3:金融×地元
- 一言:「地元の事業者の資金面を支える貴社で、地域の企業が挑戦しやすい環境をつくりたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:地元には、長く続く商店や小さな工場が多くあります。そうした事業者が続けられるかどうかが地域の雰囲気に関わると感じ、支える側の仕事に関心を持ちました。
- ポイント:部活とは無関係の理由を主役にし、部活はガクチカで語る前提です。
例文4:IT×データ分析担当
- 一言:「データを現場の判断に活かす貴社のサービスを通じて、顧客の意思決定を支える仕事がしたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:部で試合のデータを集計して分析を担当し、数字が練習の方針を変える場面を経験しました。数字を使って人の判断を助ける仕事に関心を持ち、その規模を広げられるのが貴社だと考えました。
- ポイント:分析の経験が事業と直結しているため、「データ」という言葉を一言に入れています。
例文5:人材×後輩指導
- 一言:「一人ひとりの状況に合わせた支援を重視する貴社で、人が次の一歩を決める場面に関わりたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:後輩の指導で、同じ助言でも伝わり方が人によって違うと気づきました。個別に向き合う支援を大切にしている貴社の方針を説明会で知り、自分の関心と重なると感じました。
- ポイント:「説明会で知った」という一次情報が、「なぜこの会社か」の裏付けになっています。
例文6:インフラ×社会を支える関心
- 一言:「社会に欠かせない設備を長く守る貴社で、安定した暮らしを支える仕事がしたいと考え、志望しました」
- 続けて話す根拠:自分は、目立たなくても止まると困るものを支える仕事に関心があります。貴社の〇〇の保守の取り組みを知り、その関心を長く続けられる場だと考えました。
- ポイント:「安定性」だけで終わらせず、「何を支えたいか」を一言に残しています。
一言から30秒・1分へ広げる|場面別の答え方
一言は志望動機の「結論」なので、同じ一言のあとに理由と根拠を足していけば、30秒・1分の答えに広げられます。
| 場面 |
求められる長さの例(目安) |
一言のあとに足すもの |
| ESの一言欄 |
欄の指定に従う |
足さない(一言のみ) |
| 面接で「志望動機を一言で」 |
1文 |
聞き返されたときに続けられる根拠を用意しておく |
| 面接で「30秒で」など短い指定があるとき |
30秒程度 |
理由と、根拠を1つ |
| 面接で「志望動機を教えてください」 |
1分程度 |
理由、きっかけ、入社後にしたいこと |
| 深掘り「なぜ同業他社ではないのですか」 |
数文 |
その会社にしかない事業・取り組みと、自分の関心のつながり |
長さはいずれも編集部の目安で、企業や面接官によって異なります。
深掘りで聞かれやすい質問と返し方
一言のあとに聞かれやすい質問を3つ、返し方の考え方とあわせて整理します。例は編集部が作成した架空のものです。
1. なぜ他社ではなく当社なのですか
置き換えテストで入れた「その会社にしかないもの」を、そのまま理由として話します。例:「御社は〇〇の事業に力を入れていて、自分がしたい△△を直接担えると考えたためです」
2. 部活の経験とどうつながりますか
つながりが薄いのに、無理に結びつける必要はありません。関心のきっかけとして、1〜2文で事実を話します。例:「部で〇〇を担当した経験から、人を支える仕事に関心を持ったことが、志望のきっかけです」
3. 入社後に具体的に何をしたいですか
一言の「何をしたいか」を、仕事の場面に置き換えて話します。例:「まず〇〇の業務で現場を知り、将来は△△に関わりたいと考えています」
面接全体の想定質問は、ツナカレメディアの体育会学生必見!面接でよくある質問と回答例を解説も参考になります。
【記入テンプレ】志望動機の一言を作るシート
次の6つの欄を上から埋めると、一言と、その後に続ける根拠が一度にそろいます。記入例は、架空の一人分で一貫させています。
| 項目 |
記入欄 |
記入例(架空) |
| ①この会社でやりたいこと |
|
中小の事業者の業務負担を減らす仕事がしたい |
| ②それができるのがこの会社である理由(事業・顧客・取り組みのどれか) |
|
貴社の〇〇サービスは、小規模の事業者を主な顧客にしている |
| ③そう考えたきっかけ(部活・地元・授業・アルバイトなど。部活でなくてもよい) |
|
実家が小さな店を営んでおり、事務作業に追われる様子を見てきた |
| ④一言(①と②を1文に) |
|
小規模の事業者を支える貴社の〇〇サービスで、業務負担を減らす仕事がしたいと考え、志望しました |
| ⑤置き換えテストの結果(同業他社の名前で読んで通じないか) |
|
「小規模の事業者向け」を入れたため、他社名では通じにくい |
| ⑥続けて話す根拠(③を2文で) |
|
実家の店で、事務作業が仕事の時間を奪う様子を見てきました。その負担を減らす側に回りたいと考えるようになりました |
④が長くなる場合は、①を残して②を短くしてください。自己PRの一言とセットで準備する場合は、自己PRの一言フレーズ20選|体育会・学生団体の強み別と深掘り対策も参照してください。
まとめ|一言は「やりたいこと+その会社である理由」の1文にする
- 志望動機の一言は、「何をしたいか」と「なぜこの会社か」を1文にしたもの
- 部活の経験が会社を選ぶ理由になっているときは一言に入れ、強みの紹介にとどまるときは後ろの根拠に回す
- 「貴社」を同業他社に置き換えて通じてしまう場合は、その会社にしかないものを1つ入れる
- 一言のあとに、理由と根拠を足していけば、30秒・1分の答えに広げられる
一言の後に続ける根拠となる部活経験の整理から始めたい方は、体育会・学生団体のガクチカ 書き方テンプレ&例文集を無料で配布しています。志望動機や面接での伝え方を相談してみたい場合は、ツナカレ就活への登録から申し込めます。ご相談にはメールで回答します。