「ガクチカを書こうとノートを開いたまま、1行も進まない」。部活動に打ち込んできた体育会の学生でも、こうした状態になることがあります。
結論から言うと、「何を書けばいいかわからない」は1つの悩みではなく、場面が出てこない/場面はあるが価値が判断できない/場面はあるが文章にならない、という3つの状態が混ざっていることが多く、どれに当てはまるかで最初の一手が変わります。 原因を切り分けずに例文を読み続けると、読んだ量だけ増えて、手が動かないままになる場合があります。
この記事は、題材を探す最初の段階を扱います。「部活しかないことが不利にならないか」という不安は「ガクチカが部活しかない」を武器に変える書き方、自己分析にまとまった時間が取れない場合は自己分析のやり方|時間がない体育会学生向け時短法で扱っているので、状況に近いほうも確認してください。
まず「何がわからないのか」を3つに分ける
結論として、詰まっている原因は次の3つに分けられます。当てはまるものから読み進めてください。複数に当てはまることもあります。
| 状態 |
原因のタイプ |
最初の一手 |
| A. 書こうとしても場面が浮かばない |
場面を引き出す手がかりが足りない |
質問シートで場面を書き出す |
| B. 場面は浮かぶが「普通すぎる」と感じる |
何を価値と見るかの基準がない |
採用側の見方に自分の場面を当てはめる |
| C. 場面はあるが文章にならない |
書く順番(型)が決まっていない |
3行メモにしてから文章にする |
自己診断として、次の質問に答えてみてください。
- 5分間、部活の思い出を書き出して、場面が3つ未満だった → A
- 場面は書けたが、「これは誰でもやっていることだ」と消してしまった → B
- 場面は決まったが、書き出しの1文目で手が止まる → C
A. 場面が出てこないとき:質問シートで引き出す
結論として、「頑張ったことは何ですか」という大きな問いのままでは場面が出にくいため、時間軸や出来事を区切った小さな問いに分けて答えるほうが、書き出しやすくなります。
次のシートは、編集部が部活動の時間の流れに沿って作ったものです。1問につき1〜2行、15分程度を目安に、思い出した順に書き出してください。うまく書けなくても構いません。
| 時期・場面 |
問い |
思い出すヒント |
| 入部直後 |
一番つらかったのはどんな時期でしたか |
練習についていけなかった、環境に慣れなかった |
| 練習の中 |
自分から練習のやり方を変えたことはありますか |
自主練、メニューの提案、動画の見返し |
| 試合・大会 |
負けた試合のあと、自分は何をしましたか |
振り返りの共有、翌週の練習への反映 |
| 試合に出られない時期 |
出場できなかった間、何を考えて動きましたか |
補欠、ベンチ外、怪我での離脱 |
| 役割が変わった時 |
学年が上がって役割が変わった時、何が変わりましたか |
後輩の指導、運営、主将・副将、係 |
| 人間関係 |
同期や後輩と意見が合わなかったことはありますか |
練習量の考え方の違い、方針の対立 |
| 続けるかどうか |
部活を続けるか迷ったことはありますか |
迷った理由と、続けると決めた理由 |
3つ以上の場面が書けたら、この段階は終わりです。場面の数よりも、あとで選べるだけの候補が手元にあることが大切です。まとまった時間が取れない場合は、1日1問ずつ進める方法もあります。進め方は自己分析のやり方|時間がない体育会学生向け時短法にまとめています。
B. 場面は浮かぶが「普通すぎる」と感じるとき:採用側の見方を知る
結論として、場面の大きさは自分では判断しづらいため、採用側が実際にどこを見ると語っているかを手がかりにすると、残すか消すかを決めやすくなります。次の声は、いずれも個別の企業の考え方で、すべての企業が同じ基準とは限りません。
成果の大小より、踏み出した経験を見る企業の声
IT受託開発・SaaSを手がける株式会社Waku Labの副社長は、学生の評価で「ゼロから一歩踏み出した経験」を最も重視していると語っています。成果の大小よりも、未知の領域に足を踏み入れた事実と、その過程で何を学んだかを見るといいます(ツナカレメディア 人事の声、2026年3月30日掲載)。
特別なスキルより、打ち込んだ経験を見る企業の声
AIと人材の分野で事業を行う株式会社VEXUMは、インターン採用について「特別なスキルは必要ありません」とし、好奇心が強く変化を楽しめる人や、スポーツやアルバイトなど何かに打ち込んだ経験がある人を求めると語っています(ツナカレメディア 人事の声、2026年1月20日掲載)。
試合に出られなかった時期にも学びがある、という声
同朋大学女子バスケットボール部のキャプテンは、高校時代に強豪校で公式戦の出場機会に恵まれなかった経験を振り返り、「自分のためだけでなく、チームのために動くことが大きな力になる」と感じたと語っています(ツナカレメディア 部活動取材、2026年7月2日掲載)。
これらを踏まえて、手元の場面を次の3つの問いで見直してみてください。
| 自問 |
当てはまる例 |
| 自分で決めて動いた場面か |
誰かに言われる前に練習のやり方を変えた |
| やる前と後で何かが変わった場面か |
自主練を始めて、試合中の動きが変わった |
| そこから学んだことを一言で言えるか |
全体を見て動く大切さを学んだ |
3つのうち1つでも当てはまれば、候補として残す価値があります。「普通」と感じて消す前に、まず残しておくほうが、あとで選びやすくなります。
C. 場面はあるが文章にならないとき:3行メモにしてから書く
結論として、いきなり文章にせず、状況・自分の行動・その後の変化を3行のメモにしてから文章に起こすと、書き出しの1文目で止まりにくくなります。
次の記入例は、手順を示すための架空の例です(実際の取材や相談の内容ではありません)。
| 項目 |
3行メモの記入例 |
| 状況 |
2年の秋、試合に出られず練習の意味を見失いかけていた |
| 自分の行動 |
試合映像を見直し、チームの課題を3つ書き出して先輩に共有した |
| その後の変化 |
練習の中で意見を言う機会が増え、自分の役割を考えるようになった |
このメモを1文ずつつなげると、「2年の秋、試合に出られず練習の意味を見失いかけていましたが、試合映像からチームの課題を3つ書き出し、先輩に共有しました。その後、練習の中で意見を言う機会が増え、自分の役割を考えるようになりました」という文章になります。ここから、400字や200字といった字数に合わせて肉付けしていきます。ガクチカの型や例文は、ガクチカ「部活」の書き方と例文5選を参考にできます。
メモの段階では、文章のうまさを気にする必要はありません。3行が埋まるかどうかが、この段階の確認事項です。
候補が複数出てきたら
質問シートから複数の場面が出てきた場合は、どれか1つに絞る段階に進みます。選び方は、実績の大きさではなく、応募先が見ている点に当てはまるかで見るのが一つの方法です。この段階はガクチカが複数ある場合の選び方|体育会学生向けで扱うため、ここでは扱いません。
今日の15分でできること
- 質問シートの7問のうち、答えやすそうな3問に1〜2行で答える
- 出てきた場面を「自分で決めて動いた場面か」の自問で見直す
- 1つだけ選んで、状況・行動・変化の3行メモにする
3行メモができれば、次は文章化です。自己分析の代表的な手法を体系的に知りたい方はツナカレメディアの自己分析のやり方も参考になります。
まとめ:「何がわからないか」を切り分けると、最初の一手が決まる
- 「何を書けばいいかわからない」は、場面が出ない/価値が判断できない/文章にならない、の3つに分けて考える。
- 場面が出ないときは、時間軸で区切った小さな問いに答えて書き出す。
- 「普通すぎる」と感じたら、採用側の見方(踏み出した経験、打ち込んだ経験)を手がかりに、自分で決めて動いた場面かを見る。
- 文章にならないときは、状況・行動・変化の3行メモを先に作る。
ガクチカの材料づくりから始めたい方は、体育会・学生団体のガクチカ 書き方テンプレ&例文集を無料で配布しています。状況を整理したうえで相談してみたい場合は、ツナカレ就活への登録から申し込めます。ご相談にはメールで回答します。