「就活で使う推薦状を書いてほしいと頼まれたが、何を書けばいいのか分からない」「応援コメントを一言添えてほしいと言われたが、就活に関わる文章を書くのは初めてで戸惑っている」——部活動の顧問・指導者の方が、こうした戸惑いを抱くことがあります。
結論からお伝えすると、推薦状や応援コメントで大切なのは**「実際に見てきた事実に基づいて書くこと」**です。学生の将来の活躍を保証したり、他の学生と比べて優劣をつけたりする必要はありません。この記事では、依頼を受けたときに確認しておきたいこと、内容の組み立て方、避けたい書き方、簡単なテンプレートまでを整理します。学生本人向けの就活情報は他の記事に譲り、本記事は顧問・指導者側の実務に絞って解説します。
なぜ顧問に推薦状・応援コメントの依頼が来るのか
結論として、顧問は学生の部活動での取り組みを長期間にわたって直接見てきた立場にあるため、就活の場面で「人物を知る第三者」としての言葉を求められやすいという背景があります。
就活の選考では、学生本人が語る自己PRだけでなく、周囲の人物からの評価が参考情報として求められる場面があります。具体的には、次のような場面が挙げられます。
- 企業から「学校長・指導者からの推薦状」の提出を求められる選考ルート(体育会出身者を対象にした一部の採用枠など)
- OB・OGを通じた紹介や、部活動の実績を重視する採用担当者向けに、指導者からの一言コメントを添えるケース
- 就活サイトへの登録時や、大学のキャリアセンターへの相談時に、指導者からの応援コメントを求められるケース
いずれの場面でも、顧問に期待されているのは「この学生をよく知る立場から見た事実」です。企業や制度についての専門的な判断まで求められているわけではないため、身構えすぎる必要はありません。
依頼されたときにまず確認したいこと
結論として、書き始める前に提出先・用途・形式の3点を学生本人に確認しておくと、後から書き直す手間を減らせます。
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 提出先・用途 | 企業への提出か、大学の制度向けか、SNSや個人的な記録用かで、書くべき堅さや詳しさが変わります |
| 希望する形式 | 手書きか電子データか、字数や項目の指定があるかによって構成が変わります |
| 提出期限 | 部活動の指導と並行して書く時間を確保する必要があるため、早めに把握しておくと安心です |
| 学生本人が伝えたい強み | 学生自身がどのエピソードを重視しているかを聞いておくと、本人の自己PRと矛盾しない内容にしやすくなります |
特に「学生本人が伝えたい強み」は、確認しておく価値が高い項目です。顧問から見た評価と、学生本人が企業に伝えたい自己PRの方向性がずれていると、選考の場で説明に一貫性がなくなってしまう可能性があります。
推薦状に書く内容の組み立て方
結論として、推薦状は①指導期間と関係性②具体的な行動の事実③事実に基づく評価の3つの要素で組み立てると、読み手にとって説得力のある内容になりやすいです。
①指導期間と関係性を明記する
まず、いつからいつまで、どのような立場で指導してきたかを明記します。「◯年◯月から◯年間、◯◯部の顧問として指導してきました」のように、具体的な期間を示すことで、以降の記述に根拠があることが伝わります。
②具体的な行動の事実を書く
評価を先に書くのではなく、その評価の元になった具体的な行動を先に書きます。
- 「毎日の練習前に自主的にメニューを提案し、他の部員を巻き込んで実行していました」
- 「部の資金管理を担当し、部費の使途を部員に定期的に説明する仕組みを作りました」
- 「新入部員が定着しにくい時期に、個別に声をかける役割を継続していました」
抽象的な人柄の説明(「真面目」「努力家」など)だけで終えず、その根拠となる行動を添えることが、事実に基づく記述のポイントです。
③事実に基づく評価を添える
行動の事実を書いたうえで、そこから見えた評価を短く添えます。ここで気をつけたいのが、評価の範囲を「実際に見てきたこと」に限定することです。「入社後も必ず活躍する」といった将来の保証ではなく、「継続して物事に取り組む姿勢が見られました」のように、指導期間中に確認できた事実の範囲でまとめます。
応援コメントとの書き分け方
推薦状と応援コメントは、求められる堅さが異なります。
| 推薦状 | 応援コメント | |
|---|---|---|
| 想定される用途 | 企業への正式な提出物、大学の制度への申請 | SNSや就活サイトへの一言、個人的な記録 |
| 文体 | 「である」調・敬語での丁寧な文章 | 学生への語りかけに近い、短めの文章 |
| 長さの目安 | 200〜400字程度(指定があれば従う) | 50〜150字程度 |
| 書く内容 | 指導期間・行動の事実・評価をひとまとまりで | 印象に残っている場面を1つ選んで短く |
応援コメントの場合は、推薦状のように要素を網羅する必要はありません。印象に残っている場面を1つ選び、「〇〇の場面で見せた粘り強さを、これからの場所でも活かしてほしいと思います」のように、短く前向きな言葉でまとめる形で十分です。
避けたい書き方(NGパターン)
以下の書き方は、意図せず学生に不利益を与えてしまう可能性があるため、見直すことをおすすめします。
- 将来の成果を保証する表現:「必ず活躍する」「絶対に会社に貢献する」など。書き手が根拠を示せない予測になります
- 他の部員との比較による評価:「歴代で一番の実力を持つ選手」など。比較の根拠を客観的に示せない場合、誤解を招きます
- 本人の意向を確認せずに個人的な事情まで書き込む:家庭の事情や怪我の詳細など、本人が企業に伝えたいと思っていない情報を含めると、学生の意図と異なる印象を与えかねません
- 接点の少ない学生について、実態以上に詳しく書く:面談などで内容の食い違いが生じ、学生本人が説明に困る可能性があります
すぐに使えるテンプレート
結論として、推薦状も応援コメントも「指導した期間と立場 → 実際に見てきた行動の事実 → その事実に基づく評価」の順に並べると、要素の抜け漏れを防げます。以下の骨子の◯◯部分を差し替え、見てきた場面に合わせて言葉を調整してお使いください。
推薦状の骨子
◯◯株式会社 ご担当者様
私は◯◯大学◯◯部の顧問として、◯年◯月から◯年間、〇〇さんの指導にあたってきました。
〇〇さんは在籍期間中、〔具体的な行動の事実を1〜2つ〕に継続して取り組んでいました。
〔行動の事実〕を通じて、〔事実に基づく評価〕という印象を持っています。
以上の点から、〇〇さんを推薦いたします。
応援コメントの型(2パターン)
- 場面を1つ選ぶ型:「〇〇の大会で見せた最後まで諦めない姿勢が印象に残っています。新しい環境でも、その姿勢を活かして頑張ってください」
- 役割を軸にする型:「主務として部を支え続けた経験は、これからの仕事にもきっと活きるはずです。応援しています」
いずれも、実際に見てきた場面や役割を1つ選んで具体的に触れることが、印象に残るコメントにするポイントです。
顧問・指導者が就活支援に関わる例
顧問やコーチが、指導以外の場面で学生の就活を支える例は珍しくありません。中央大学ボクシング部では、人材業界で働いているコーチが、部活動の指導に加えて就職活動のサポートを行うこともあると取材で語られています(ツナカレメディア 2025年11月21日の取材記事)。
この例からわかるのは、顧問や指導者が就活の場面で果たす役割は、推薦状やコメントを書くことだけに限らないということです。日頃の指導の延長として、学生の相談に応じたり、事実に基づく情報を添えたりすることも、就活支援の一つの形と言えそうです。指導者としての就活相談への向き合い方全般は、監督・コーチが就活相談を受けたときの対応方法でも詳しく解説しています。
企業側が体育会出身者に期待する強みを知っておく
推薦状や応援コメントを書く際、企業側が体育会出身者にどのような強みを期待しやすいかを知っておくと、書く内容の方向性を定めやすくなります。ツナカレメディアの体育会学生の特徴と強みとは?就活に活かす方法では、一般的に評価されやすいとされる強みが整理されています。学生本人が伝えたい強みと、こうした一般的な評価ポイントを照らし合わせながら書くと、内容に一貫性を持たせやすくなります。
なお、体育会学生の就活は学年ごとに時期の目安が異なります。指導する学生がどの時期にあるかを把握しておきたい場合は、体育会の就活やることリスト|部活と両立する年間スケジュールも参考になります。
こんな顧問・指導者の方に読んでほしい
- 学生から初めて就活の推薦状や応援コメントを頼まれ、何を書けばよいか迷っている方
- これまで感覚的に書いていたが、書く内容の組み立て方を一度整理しておきたい方
- 複数の学生から依頼が重なり、書き分け方を確認しておきたい方
まとめ:事実に基づいて、学生本人の意向とずれない内容を
推薦状も応援コメントも、特別な文章力が求められるものではありません。指導期間中に実際に見てきた行動の事実を軸に、学生本人が伝えたい内容とずれないように確認しながら書くことが、何より大切なポイントです。将来の成果を保証したり、他の学生と比較したりする必要はなく、見てきた事実を落ち着いて言葉にすることを心がければ十分です。
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